公开(公告)号:
JPWO2021029171A1
摘要:
無機物で構成された面を有する基体と、樹脂硬化層とを有するガスバリア性包装材であって、前記樹脂硬化層がエポキシ樹脂、アミン系硬化剤を含むエポキシ樹脂硬化剤、及び酸性化合物を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物であり、前記エポキシ樹脂組成物中の塩基性窒素のモル当量と、前記酸性化合物に由来する酸基のモル当量との比(塩基性窒素/酸基)が0.60~20であるガスバリア性包装材である。
权利要求:
1. 無機物で構成された面を有する基体と、樹脂硬化層とを有するガスバリア性包装材であって、
前記樹脂硬化層がエポキシ樹脂、アミン系硬化剤を含むエポキシ樹脂硬化剤、及び酸性化合物を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物であり、前記エポキシ樹脂組成物中の塩基性窒素のモル当量と、前記酸性化合物に由来する酸基のモル当量との比(塩基性窒素/酸基)が0.60~20である、ガスバリア性包装材。
2. 前記エポキシ樹脂組成物中の前記酸性化合物以外の不揮発分100質量部に対する該酸性化合物の含有量が5~70質量部である、請求項1に記載のガスバリア性包装材。
3. 前記基体における前記無機物がケイ素酸化物、アルミニウム、及びアルミニウム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のガスバリア性包装材。
4. 前記エポキシ樹脂がメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
5. 前記アミン系硬化剤が下記のアミン系硬化剤(i)である、請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
(i)下記の(A)成分と(B)成分との反応生成物:
(A)メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種
(B)下記一般式(1)で表される不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種
(式(1)中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~13のアラルキル基を表す。)
6. 前記酸性化合物がスルホン酸化合物、カルボン酸化合物、及びリン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
7. 前記酸性化合物の酸価が200~650mgKOH/gである、請求項1~6のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
8. 前記基体の前記無機物から構成される面と前記樹脂硬化層とが隣接している、請求項1~7のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
9. レトルト食品用包装材である、請求項1~8のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
10. レトルト食品用袋である、請求項9に記載のガスバリア性包装材。
技术领域:
【0001】 本発明は、ガスバリア性包装材に関する。
背景技术:
【0002】 食品、医薬品、化粧品、精密電子部品等に用いられる包装材料には、内容物の変質を防止するために高い酸素バリア性や水蒸気バリア性が求められる。
一般に熱可塑性プラスチックフィルムの酸素バリア性はそれほど高いものではないことから、当該フィルムにガスバリア性を付与する手段として、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)層やポリビニルアルコール(PVA)層などの各種ガスバリア層を形成する方法、又は、アルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)などの無機物を蒸着する方法が検討されてきた。
【0003】 ガスバリア層としてPVDC層を形成したフィルムは、透明でかつ良好なバリア性を発揮する。しかし、一般廃棄物として焼却される際に酸性ガス等の有機物質を発生するため、環境への配慮の点から他材料への移行が望まれている。PVA層を形成したフィルムは低湿度下においては優れたガスバリア性を発揮するが、吸湿性が高く、相対湿度が70%程度以上になるとガスバリア性が急激に低下するという問題がある。
【0004】 熱可塑性プラスチックフィルムにアルミナやシリカなどの無機物を蒸着した無機蒸着フィルムは透明でかつ良好なガスバリア性を有しており、上記の問題も生じない。しかしながら無機蒸着フィルムを屈曲させると、無機蒸着層にクラックが発生して著しくガスバリア性が低下するという問題があった。
【0005】 無機物が蒸着された層を含むガスバリア性フィルム又は積層体の耐屈曲性を改善する方法として、所定のエポキシ樹脂及び所定のアミン系エポキシ樹脂硬化剤を主成分とするエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる層を形成する方法が提案されている(特許文献1~3)。
特許文献4には、無機蒸着層を有する基材フィルムと、エポキシ樹脂、所定のエポキシ樹脂硬化剤、及び非球状無機粒子を含むエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる樹脂硬化層とを有する所定の層構成のガスバリア性フィルムが、無機蒸着層を有する従来のガスバリア性フィルムよりもガスバリア性が向上し、かつ耐屈曲性にも優れることが開示されている。
【0006】 ガスバリア性フィルムに用いられるエポキシ樹脂組成物を改良することにより、得られるガスバリア性フィルムの各種機能の向上を図る検討もなされている。例えば特許文献5は、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤及び特定の硬化促進剤を含み、形成される硬化物中にアミン由来の所定の骨格構造を所定量含有するガスバリア性樹脂組成物が、広い範囲の硬化条件で高いガスバリア性を発現することを報告している。
【0007】 上記の通り、基材上に所定のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなるガスバリア層を形成するとガスバリア性の改善効果が非常に大きいことが知られている。
さらに、積層構造を有するガスバリア性フィルム、又はガスバリア性積層体においては、良好なガスバリア性を安定して発現するため、層間接着性が高いことも重要である。これに関して、例えば特許文献6には、少なくとも、基材、プライマー層、接着剤層、及びシーラント層がこの順に積層されたラミネートフィルムにおいて、特定のポリエステル系樹脂を含有するプライマー組成物を用いてプライマー層を形成し、及び、エポキシ樹脂組成物を主成分とする接着剤を用いて接着剤層を形成することで、長期間保存しても優れたラミネート強度及びヒートシール強度を維持できる、経時接着性に優れたラミネートフィルムが得られることが開示されている。
【0008】特開2003-300271号公報特開2005-28835号公報特開2009-101684号公報国際公開第2018/105282号特開2010-202753号公報特開2013-203023号公報
发明内容:
【発明が解決しようとする課題】
【0009】 しかしながら、ガスバリア性フィルム又は積層体に使用する基材及びエポキシ樹脂組成物の種類によっては、基材と、エポキシ樹脂組成物の硬化物層との層間接着性が充分でない場合があった。特許文献1~6には、アミン系エポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物が開示されているが、近年の本発明者らの検討によれば、アミン系エポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、無機物、特に、アルミナに対する接着性が不安定であることが見出された。
また食品用途等の包装材料においてはレトルト処理等の加熱処理が行われることがあり、レトルト処理後も層間接着性を維持できることが重要である。
【0010】 本発明の課題は、無機物で構成された面を有する基体と、エポキシ樹脂組成物の硬化物である樹脂硬化層とを有し、レトルト処理後も層間剥離が起こり難く耐レトルト性に優れるガスバリア性包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】 本発明者らは、前記樹脂硬化層をエポキシ樹脂、アミン系硬化剤を含むエポキシ樹脂硬化剤、及び酸性化合物を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物で構成し、かつエポキシ樹脂組成物中の塩基性窒素のモル当量と、酸性化合物に由来する酸基のモル当量との比を所定の範囲とすることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]無機物で構成された面を有する基体と、樹脂硬化層とを有するガスバリア性包装材であって、
前記樹脂硬化層がエポキシ樹脂、アミン系硬化剤を含むエポキシ樹脂硬化剤、及び酸性化合物を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物であり、前記エポキシ樹脂組成物中の塩基性窒素のモル当量と、前記酸性化合物に由来する酸基のモル当量との比(塩基性窒素/酸基)が0.60~20である、ガスバリア性包装材。
[2]前記エポキシ樹脂組成物中の前記酸性化合物以外の不揮発分100質量部に対する該酸性化合物の含有量が5~70質量部である、上記[1]に記載のガスバリア性包装材。
[3]前記基体における前記無機物がケイ素酸化物、アルミニウム、及びアルミニウム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]又は[2]に記載のガスバリア性包装材。
[4]前記エポキシ樹脂がメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分とする、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
[5]前記アミン系硬化剤が下記のアミン系硬化剤(i)である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
(i)下記の(A)成分と(B)成分との反応生成物:
(A)メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種
(B)下記一般式(1)で表される不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種
(式(1)中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~13のアラルキル基を表す。)
[6]前記酸性化合物がスルホン酸化合物、カルボン酸化合物、及びリン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
[7]前記酸性化合物の酸価が200~650mgKOH/gである、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
[8]前記基体の前記無機物から構成される面と前記樹脂硬化層とが隣接している、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
[9]レトルト食品用包装材である、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載のガスバリア性包装材。
[10]レトルト食品用袋である、上記[9]に記載のガスバリア性包装材。
【発明の効果】
【0012】 本発明のガスバリア性包装材は、レトルト処理後も基体と樹脂硬化層との間で層間剥離が起こり難く耐レトルト性に優れることから、レトルト食品用の袋、蓋材等のレトルト食品用包装材として有用である。