IPC分类号:
A45D44/22 | A61F13/02 | A61K8/02 | A61Q19/08
当前申请(专利权)人:
株式会社ラボ·ジュヴェルサ
原始申请(专利权)人:
株式会社ラボ·ジュヴェルサ | 株式会社メディカルフロント
代理人:
楠本 高義 | 平松 拓郎 | 三雲 悟志 | 浅野 哲平 | 森 優 | 中川 茂樹 | 中越 貴宣
摘要:
【課題】シワ、弛みを生じた皮膚を矯正する効果が大きく、皮膚に不自然な陥凹が生じにくい貼付材を提供する。さらに、前述の貼付材を皮膚に適切に貼付することができる貼付具を提供する。
【解決手段】弾性を有するフィルム状の支持体、及び支持体の一面に設けられた粘着剤層を備え、一端部及び他端部を有する基部と、他端部から延出している第1延出部と、第1延出部が延出している方向とは別方向へ前記他端部から延出している第2延出部と、を少なくとも備えて構成し、貼付されたときに基部が、弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、一端部から第1延出部へ向けて牽引されており、かつ、一端部から第1延出部へ向かう方向とは別方向にある第2延出部へ向けて牽引されている貼付材である。弛んだ皮膚部分が複数方向に牽引され、広範囲の弛みが矯正され、シワが平坦化する。一箇所に牽引力が集中して及ばないため、皮膚の陥凹を免れる。
【選択図】図3
技术问题语段:
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の貼付材では、弛んだ皮膚を矯正する効果が小さく、深いほうれい線やマリオネットラインを充分に平坦化させることは難しい。また、従来の貼付材が貼付された皮膚には、不自然な陥凹が生じてしまう場合が多い。
【0006】
そこで、本発明の課題は、シワ、弛みを生じた皮膚を矯正する効果が大きく、皮膚に不自然な陥凹が生じにくい貼付材を提供することにある。さらに、本発明の課題は、前述の貼付材を皮膚に適切に貼付することができる貼付具を提供することにある。
技术功效语段:
【0019】上記の構成を含む本発明に係る貼付材は、基部の一端部から、第1延出部と第2延出部がそれぞれ別方向に延出している形状を少なくとも備えて構成している。この形状により、適切に貼付すれば、本貼付材が貼付されたときにその基部は、弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、一端部から第1延出部へ向けて牽引されており、かつ、一端部から第1延出部へ向かう方向とは別方向にある第2延出部へ向けて牽引されている状態になる。このとき、弛んだ皮膚部分は、その少なくとも一部に基部を貼付されているため、基部と同様に、第1延出部に向かう方向と、この方向とは別方向にある第2延出部に向かう方向と、の複数方向に牽引されている状態で保持される。さらに、弛んだ皮膚部分から第1延出部と第2延出部との間にある方向において、前述した第1延出部に向かう方向への牽引力と、前述した第2延出部に向かう方向への牽引力と、が合成されるため、このときの弛んだ皮膚部分は、第1延出部と第2延出部との間に向かう方向へも牽引されている状態で保持される。このように弛んだ皮膚が複数方向に牽引されている状態で保持されると、従来の貼付材が貼付されて弛んだ皮膚部分が単一方向に牽引されている場合と比べて、広範囲にわたり拡大した余剰皮膚を適切に牽引すること、つまり、広範囲にわたり皮膚の弛みを解消することができる。
【0020】皮膚の弛みが広範囲にわたり解消すると、弛んだ皮膚部分の近くに生じていたシワが効率よく平坦化する。例えば、本貼付材の基部を弛んだ頬の皮膚部分の少なくとも一部に貼付して、その皮膚部分の弛みを矯正すると、その皮膚部分の近くにある深いほうれい線やマリオネットラインが効率よく平坦化されて浅くなる。
【0021】また、従来の貼付材が貼付されて皮膚が単一方向に牽引されている場合と比べて、上記のように本貼付材が貼付されたときには、広範囲にわたり拡大した余剰皮膚が複数方向に牽引されているため、弛んだ皮膚部分で不自然な陥凹は生じにくい。さらに、本貼付材は、第1延出部と第2延出部とを少なくとも備えて構成しているため、貼付されたときに一つの延出部のみに牽引力が局所的に集中して及ぶことは避けられる。このため、従来の貼付材が貼付されて皮膚が単一方向に牽引されている場合と比べて、本貼付材を貼付されたときには、第1延出部を貼付された皮膚部分や、第2延出部を貼付された皮膚部分で、不自然な陥凹は生じにくい。
权利要求:
【請求項1】
弾性を有するフィルム状の支持体、及び前記支持体の一面に設けられた粘着剤層を備えた貼付材であって、
前記貼付材は、
一端部及び他端部を有する基部と、
前記他端部から延出している第1延出部と、
前記第1延出部が延出している方向とは別方向へ前記他端部から延出している第2延出部と、
を少なくとも備えて構成し、
前記貼付材が貼付されたときに前記基部が、弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、前記一端部から前記第1延出部へ向けて牽引されており、かつ、当該一端部から当該第1延出部へ向かう方向とは別方向にある前記第2延出部へ向けて牽引されていることを特徴とする貼付材。
【請求項2】
前記弛んだ皮膚部分が、マリオネットラインと耳垂前部との間にある皮膚部分であり、
貼付されたときに、前記一端部、前記第1延出部、及び前記第2延出部からなる群より選ばれた1つ以上の部分が、耳垂前部にある皮膚部分の少なくとも一部に貼付されている、請求項1に記載された貼付材。
【請求項3】
前記弛んだ皮膚部分が、ほうれい線と耳前との間にある皮膚部分であり、
貼付されたときに、前記一端部、前記第1延出部、及び前記第2延出部からなる群より選ばれた1つ以上の部分が、耳前にある皮膚部分の少なくとも一部に貼付されている、請求項1に記載された貼付材。
【請求項4】
前記弛んだ皮膚部分が、下眼瞼部の眼袋とこめかみとの間にある皮膚部分、および/または、鼻背とこめかみとの間との間にある皮膚部分であり、
貼付されたときに、前記一端部、前記第1延出部、及び前記第2延出部からなる群より選ばれた1つ以上の部分が、こめかみにある皮膚部分の少なくとも一部に貼付されている、請求項1に記載された貼付材。
【請求項5】
前記弛んだ皮膚部分が、眉間にある皮膚部分であり、
貼付されたときに、前記一端部、前記第1延出部、及び前記第2延出部からなる群より選ばれた1つ以上の部分が、鼻背にある皮膚部分の少なくとも一部、および/または、前頭部において頭髪の生え際にある皮膚部分の少なくとも一部に貼付されている、請求項1に記載された貼付材。
【請求項6】
前記支持体の厚さが6〜50μmであり、
前記支持体の20%引張強度が0.1〜3N/cmであり、
前記粘着剤層の厚さが5〜100μmである、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された貼付材。
【請求項7】
前記支持体の厚さをwとするとき、当該支持体の他面の十点平均粗さRzが、6μm≦Rz≦40μmであり、かつ、Rz≦wである、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された貼付材。
【請求項8】
前記他端部から前記第1延出部が延出している方向とは別方向へ、および、当該他端部から前記第2延出部が延出している方向とは別方向へ、当該他端部から延出している第3延出部をさらに備えて構成している、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された貼付材。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された貼付材を囲むフレームと、
前記フレームに取り付けられて前記一端部を保持する一端部保持手段と、
前記フレームに取り付けられて前記第1延出部を保持する第1延出部保持手段と、
前記フレームに取り付けられて前記第2延出部を保持する第2延出部保持手段と、
を備える貼付具。
【請求項10】
請求項8に記載された貼付材を囲むフレームと、
前記フレームに取り付けられて前記一端部を保持する一端部保持手段と、
前記フレームに取り付けられて前記第1延出部を保持する第1延出部保持手段と、
前記フレームに取り付けられて前記第2延出部を保持する第2延出部保持手段と、
前記フレームに取り付けられて前記第3延出部を保持する第3延出部保持手段と、
を備える貼付具。
技术领域:
【0001】
本発明は、貼付材、及びその貼付具に関する。
背景技术:
【0002】
皮膚が老化すると、その症状として皮膚にシワ、弛みが生じる。女性にとっては、皮膚にシワ、弛みが生じると、QOL(Quality of life)の著しい低下を招いてしまう場合がある。高齢者人口が増え続ける現状において、いつまでも若々しくハリのある皮膚を保ちたいという願望に応え、QOLを高く保つために、効率よく皮膚の弛みやシワを矯正する手段が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、耳下の顎の皮膚部分に支持体の一端部を貼付し、支持体の他端部を耳の後ろ側の皮膚部分に貼付する貼付材が開示されている。この貼付材を貼付すると、顔面下部の皮膚が上方に牽引されて、顔面下部で弛んだ皮膚が矯正されて、シワを平坦化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】
特開2002-241222号公報
发明内容:
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の貼付材では、弛んだ皮膚を矯正する効果が小さく、深いほうれい線やマリオネットラインを充分に平坦化させることは難しい。また、従来の貼付材が貼付された皮膚には、不自然な陥凹が生じてしまう場合が多い。
【0006】
そこで、本発明の課題は、シワ、弛みを生じた皮膚を矯正する効果が大きく、皮膚に不自然な陥凹が生じにくい貼付材を提供することにある。さらに、本発明の課題は、前述の貼付材を皮膚に適切に貼付することができる貼付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、従来の貼付材を貼付する場合の問題点を検討した。弛んだ皮膚は、表皮が扁平化し、真皮層が弾力性を失い菲薄化し、結果的に全方向に面積が拡大した状態になっている。このため、従来の貼付材を貼付して弛んだ皮膚を単一方向に牽引したのでは、弛んだ皮膚を広範囲にわたって矯正することができないと考えられる。また、従来の貼付材では、貼付する際、一度に適切な単一方向に適切な強さで貼付材を牽引しながら貼付する高度な技術が求められる。貼付材の扱いに熟練していない者が貼付すると、皮膚の一部が局所的に強く牽引されて不自然に陥凹すると考えられる。
【0008】
上記の考えに基づいて、本発明者は、弛んだ皮膚部分を一方向に牽引している状態で保持するように貼付材の一部分を貼付し、次に、弛んだ皮膚部分を別方向にも牽引している状態で保持するように貼付材の他部分を貼付可能な貼付材を開発した。その結果、従来の貼付材と比べて、シワ、弛みを生じた皮膚を矯正する効果が格段に優れ、皮膚に不自然な陥凹が生じないように貼付しやすい貼付材を提供できることを見出した。
【0009】
すなわち、前述の課題を達成するため、本発明に係る貼付材は、弾性を有するフィルム状の支持体、及び前記支持体の一面に設けられた粘着剤層を備えた貼付材であって、前記貼付材は、一端部及び他端部を有する基部と、前記他端部から延出している第1延出部と、前記第1延出部が延出している方向とは別方向へ前記他端部から延出している第2延出部と、を少なくとも備えて構成し、前記貼付材が貼付されたときに前記基部が、弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、前記一端部から前記第1延出部へ向けて牽引されており、かつ、当該一端部から当該第1延出部へ向かう方向とは別方向にある前記第2延出部へ向けて牽引されていることを特徴とする。
【0010】
あるいは、本貼付材は、弾性を有するフィルム状の支持体、及び前記支持体の一面に設けられた粘着剤層を備えた貼付材であって、前記貼付材は、一端部及び他端部を有する基部と、前記他端部から延出している第1延出部と、前記第1延出部が延出している方向とは別方向へ前記他端部から延出している第2延出部と、を少なくとも備えて構成していることを特徴とする。
【0011】
本貼付材は、貼付されたときに、前記一端部、前記第1延出部、及び前記第2延出部からなる群より選ばれた1つ以上の部分が、筋組織、腱組織、及び軟骨組織からなる群より選ばれた1種以上の組織を介して骨組織に固定された皮膚部分の少なくとも一部に貼付されていることを特徴とし得る。
【0012】
本貼付材は、貼付されたときに、前記基部が、前記弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、前記弛んだ皮膚部分が、ほうれい線と耳前との間にある皮膚部分であり、前記固定された皮膚部分が、耳前の皮膚部分であることを特徴とし得る。
【0013】
本貼付材は、貼付されたときに、前記基部が、前記弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、前記弛んだ皮膚部分が、マリオネットラインと耳垂前部との間にある皮膚部分であり、前記固定された皮膚部分が、耳垂前部の皮膚部分であることを特徴とし得る。
【0014】
本貼付材は、貼付されたときに、前記基部が、前記弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、前記弛んだ皮膚部分が、下眼瞼部の眼袋とこめかみとの間にある皮膚部分、及び鼻背とこめかみとの間にある皮膚部分からなる群より選ばれた1種以上の皮膚部分であり、前記固定された皮膚部分が、こめかみの皮膚部分であることを特徴とし得る。
【0015】
本貼付材は、貼付されたときに、前記基部が、前記弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、前記弛んだ皮膚部分が、眉間の皮膚部分であり、前記固定された皮膚部分が、鼻背の皮膚部分、及び前頭部の頭髪の生え際の皮膚部分からなる群より選ばれた1種以上の皮膚部分であることを特徴とし得る。
【0016】
本貼付材は、前記支持体の厚さが6〜50μmであり、前記支持体の20%引張強度が0.1〜3N/cmであり、前記粘着剤層の厚さが5〜100μmであることを特徴とし得る。
【0017】
本貼付材は、前記支持体の厚さをwとするとき、当該支持体の他面の十点平均粗さRzが、6μm≦Rz≦40μmであり、かつ、Rz≦wであることを特徴とし得る。
【0018】
さらに、本貼付具は、前記貼付材を囲むフレームと、前記フレームに取り付けられて前記一端部を保持する一端部保持手段と、前記フレームに取り付けられて前記第1延出部を保持する第1延出部保持手段と、前記フレームに取り付けられて前記第2延出部を保持する第2延出部保持手段と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
上記の構成を含む本発明に係る貼付材は、基部の一端部から、第1延出部と第2延出部がそれぞれ別方向に延出している形状を少なくとも備えて構成している。この形状により、適切に貼付すれば、本貼付材が貼付されたときにその基部は、弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付されており、一端部から第1延出部へ向けて牽引されており、かつ、一端部から第1延出部へ向かう方向とは別方向にある第2延出部へ向けて牽引されている状態になる。このとき、弛んだ皮膚部分は、その少なくとも一部に基部を貼付されているため、基部と同様に、第1延出部に向かう方向と、この方向とは別方向にある第2延出部に向かう方向と、の複数方向に牽引されている状態で保持される。さらに、弛んだ皮膚部分から第1延出部と第2延出部との間にある方向において、前述した第1延出部に向かう方向への牽引力と、前述した第2延出部に向かう方向への牽引力と、が合成されるため、このときの弛んだ皮膚部分は、第1延出部と第2延出部との間に向かう方向へも牽引されている状態で保持される。このように弛んだ皮膚が複数方向に牽引されている状態で保持されると、従来の貼付材が貼付されて弛んだ皮膚部分が単一方向に牽引されている場合と比べて、広範囲にわたり拡大した余剰皮膚を適切に牽引すること、つまり、広範囲にわたり皮膚の弛みを解消することができる。
【0020】
皮膚の弛みが広範囲にわたり解消すると、弛んだ皮膚部分の近くに生じていたシワが効率よく平坦化する。例えば、本貼付材の基部を弛んだ頬の皮膚部分の少なくとも一部に貼付して、その皮膚部分の弛みを矯正すると、その皮膚部分の近くにある深いほうれい線やマリオネットラインが効率よく平坦化されて浅くなる。
【0021】
また、従来の貼付材が貼付されて皮膚が単一方向に牽引されている場合と比べて、上記のように本貼付材が貼付されたときには、広範囲にわたり拡大した余剰皮膚が複数方向に牽引されているため、弛んだ皮膚部分で不自然な陥凹は生じにくい。さらに、本貼付材は、第1延出部と第2延出部とを少なくとも備えて構成しているため、貼付されたときに一つの延出部のみに牽引力が局所的に集中して及ぶことは避けられる。このため、従来の貼付材が貼付されて皮膚が単一方向に牽引されている場合と比べて、本貼付材を貼付されたときには、第1延出部を貼付された皮膚部分や、第2延出部を貼付された皮膚部分で、不自然な陥凹は生じにくい。
具体实施方式:
【0023】
[実施形態1]
図1(a)に示すように、実施形態1に係る貼付材(1aL,1aR)は、支持体8aと粘着剤層9aを備える。さらに、図2(a)に示すように、貼付材(1aL,1aR)は、その形状により、基部(2aL,2aR)と、第1延出部(3aL,3aR)と、第2延出部(6aL,6aR)を備えて構成している。
【0024】
顔面の右側と左側にそれぞれ貼付できるように、貼付される者にとって顔面の右側用の貼付材1aRと、顔面の左側用の貼付材1aLとは、左右一対のセットになっている。貼付材1aLと貼付材1aRとでは、その形状が鏡像対称であることを除けば、同じ構成である。以下、貼付材1aLについて説明するが、その説明内容は貼付材1aRについても同様である。
【0025】
図1(a)に示すように、貼付材1aLは、フィルム状の支持体8aに一面11aと他面10aを有し、この一面11aに粘着剤層9aが設けられた積層構造である。粘着剤層9aには、支持体8aの一面11aに対向している皮膚当接面13aが設けられている。皮膚当接面13aが皮膚に接した部分では、貼付材1aLが皮膚に貼付される。
【0026】
支持体8aは、例えば、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリイソブチレン、及びポリ酢酸ビニル等からなる群より選ばれた1種以上の弾性を有する樹脂組成物により構成されている。この樹脂組成物により構成されている支持体8aは、適度な弾性を有するため、貼付材1aLが牽引されたときに裂けにくい。また、支持体8aは、薄く柔軟であることが好ましい。支持体8aが薄いと、貼付材1aLが皮膚に貼付されたときに、貼付された者は皮膚に違和感を覚えにくい。支持体8aが柔軟であると、貼付された貼付材1aLが皮膚の動きに追従して伸縮しやすいため皮膚から剥脱しにくい。
【0027】
粘着剤層9aは、医療用貼付材で用いられ皮膚科学的に許容され得る、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、及びゴム系粘着剤等からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤により構成されている。皮膚への刺激を抑えるために、粘着剤層9aを構成する粘着剤は、好ましくはアクリル系粘着剤である。アクリル系粘着剤は、例えば、アクリル酸、炭素数8〜10のアクリル酸エステル、アクリル酸ヒドロキシエチル、及びヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物を主モノマーとし、酢酸ビニル、及びアルコキシアルキルエステルからなる群より選ばれた1種以上の化合物をコモノマーとして、重合させて得られる粘着剤組成物であることが好ましい。この粘着剤組成物に、融点が10℃以上であり沸点が120℃以上である液体を5〜50%含ませて架橋させたゲル状の共重合アクリル系粘着剤が、粘着剤層9aを構成する粘着剤であることが、さらに好ましい。
【0028】
図2(a)に示すように、貼付材1aLは、全体としてU字状である。基部2aLは、略四角形状の外形であり、一端部4aと他端部12aを有する。第1延出部3aLは、舌状の外形であり、他端部12aから延出している。第1延出部3aLの舌状の先端部分を第1先端部5aとする。第2延出部6aLは、舌状の外形であり、他端部12aから、第1延出部3aLが延出している方向とは別方向へ延出している。第2延出部6aLの舌状の先端部分を第2先端部22aとする。
【0029】
なお、本発明では、複数ある延出部のうちで、先に貼付される延出部を第1延出部とし、第1延出部が貼付された後で次に貼付される延出部を第2延出部とする。また、貼付材1aLでは、身体に貼付されたときに下側に貼付される延出部を第1延出部3aLとし、上側に貼付される延出部を第2延出部6aLとすることが好ましい。この場合には、弛んだ皮膚部分を、下側から上側へ向けて段階的に引き上げるように牽引しながら矯正することができる。
【0030】
本発明において略四角形状とは、四角形のような外形であり、その四角形の辺にあたる外形の一部に曲線状の部分が含まれ、その四角形の角にあたる部分にアールが設けられており、さらに、その外形の一部が延出部とつながって一体化しているため一部の角や辺が明確でない形状である。例えば、貼付材1aLでは、基部2aLは、四角形のような外形であり、この四角形のうちの一の辺19aを挟む2つの角部分18aを有する。一の辺19aは曲線状であり、2つの角部分18aにはアールが設けられている。また、貼付材1aLの第1延出部3aLと第2延出部6aLとの間に形成されている凹形状の凹頂点20aは、四角形で一の辺19aの対辺上にある点である。しかし、凹頂点20aの周辺部分は第1延出部3aL及び第2延出部6aLのそれぞれの根元部23aにつながって一体化しているため、基部2aLは、一の辺19aの対辺の全体や、この対辺を挟む2つの角部分21について、四角形の角やその周辺としての明確な輪郭を有していない。対辺の全体として、凹頂点20aを通り、かつ、第1延出部3aLや第2延出部6aLのそれぞれの根元部23aにつながって一体化している部分を横断する線を仮想すると、対辺を挟む2つの角部分21を仮想でき、基部2aLが四角形のような外形であるといえる。
【0031】
また、本発明における別方向とは、貼付材が2つの延出部を備える場合には、それぞれの延出部が延出している方向が、10〜90°の範囲内で異なる角度を向いていることをいう。あるいは、本発明における別方向とは、貼付材が3つ以上の延出部を備える場合には、それぞれの延出部が延出している方向が、互いに5〜180°の範囲内で異なる角度を向いていることをいう。このように各々延出部の延出方向が異なると、本貼付材を適切に貼付すれば、基部や基部を貼付された皮膚部分が、それぞれの延出部の間にある方向にも牽引されるため、効率よく皮膚の弛みを解消することができる。貼付材1aLにおいては、例えば、第1延出部3aLと第2延出部6aLのそれぞれの外形について、その舌状の長手方向に並んで伸びている2辺に対してなるべく等距離となる点を複数つなげて形成される直線を仮想し、これら仮想の2つの直線を延長して生じる交差点で、交差角が20〜40°になる。つまり、貼付材1aLでは、第1延出部3aLの延出方向と、第2延出部6aLの延出方向とでは、20〜40°開いている。
【0032】
一の辺19aから凹頂点20aへ至る最短距離を基部2aLの横方向の長さとし、この横方向と直交する方向で基部2aLの幅を測ったときに示される最短の幅を基部2aLの縦方向の長さとする。基部2aLの寸法は、例えば縦30mm×横20mmである。また、基部2aLの横方向の長さの二等分点を通ってこの横方向と直交する線を仮想し、基部2aLのうちでこの仮想の線よりも一の辺19a側にある部分を一端部4aとし、基部2aLのうちでこの仮想の線よりも凹頂点20a側にある部分を他端部12aとする。一端部4aは、略四角形状である基部2aLのうちで、一の辺19a、2つの角部分18a、及びその周辺部分により構成されている。また、他端部12aは、凹頂点20a、前述した一の辺19aの対辺を挟む2つの角部分21、及びその周辺部分により構成されている。
【0033】
貼付材1aLの貼付方法の手順を説明する。まず、例えば、貼付材1aLの一端部4aと第1先端部5aとをそれぞれ別の手の指先で同時に摘んだ状態で、第1先端部5aを引っ張る。このため、図3(a)に示すように、貼付材1aLは、その一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引された状態となる。この状態のまま、一端部4aのみを弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付する。次に、図3(b)に示すように、基部2aL及び第1延出部3aLを、一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引しながら、他端部12a、根元部23a、第1延出部3aLの第1先端部5aの順に貼付する。最後に、図3(c)に示すように、第1延出部3aLが牽引されながら貼付された方向とは別方向に第2延出部6aLの第2先端部22aを牽引しながら、他端部12a、根元部23a、第2延出部6aLの第2先端部22aの順に貼付する。
【0034】
上記の手順により、貼付されたときの貼付材1aLは、その基部2aLが弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付されている。また、その基部2aLと第1延出部3aLは、一端部4aから第1延出部3aLの第1先端部5aへ向かう方向に牽引されている状態で貼付されている。さらに、その基部2aLと第2延出部6aLは、一端部4aから、第1延出部3aLが牽引されながら貼付された方向とは別方向にある第2延出部6aLの第2先端部22aへ向かう方向に牽引されている状態で貼付されている。
【0035】
また、図4(c)に示すように、身体には、筋組織、腱組織、及び軟骨組織からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の組織を介して骨組織に固定された皮膚部分(以下「固定された皮膚部分」という。)42が多数ある。前述した手順で図3(b)に示すように、基部2aL及び第1延出部3aLが一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引されている状態で貼付されると、この牽引方向とは逆方向の延長線上にある固定された皮膚部分43から、この牽引方向にある固定された皮膚部分45へ向けて、弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部が牽引された状態で保持される。
【0036】
次いで、図3(c)に示すように、第1延出部3aLが牽引されながら貼付された方向とは別方向に第2延出部6aLを牽引しながら貼付すると、この牽引方向の逆方向の延長線上にあり固定された皮膚部分43の近くにある他の固定された皮膚部分44から、この牽引方向にあり固定された皮膚部分45から少し離れている他の固定された皮膚部分46へ向けて、弛んだ皮膚41の少なくとも一部が牽引された状態で保持される。さらに、弛んだ皮膚部分41は、第1延出部3aLの第1先端部5aへの牽引方向と、第2延出部6aLの第2先端部22aへの牽引方向とが合成されて、固定された皮膚部分45と他の固定された皮膚部分46の間にあるさらに他の固定された皮膚部分47への広範な方向にも牽引されている状態で保持される。
【0037】
このため、本発明に係る貼付材を、上記のように弛んだ皮膚部分を複数方向に牽引しながら貼付すると、従来の貼付材を単一方向に牽引しながら貼付する場合と比べて、基部を貼付された皮膚部分のみに限らず、その皮膚部分の周囲の広範囲にわたって拡大した余剰皮膚をも牽引して適切に矯正することができる。さらに、皮膚の弛みが広範囲にわたり解消すると、弛んだ皮膚部分の近くに生じていたシワが効率よく平坦化する。
【0038】
また、本貼付材は、第1延出部を牽引しながら貼付する段階と、第2延出部を牽引しながら貼付する段階を経て貼付される。多段階を経て貼付されるため、弛んだ皮膚部分を牽引する方向を順次調節して、第1延出部と第2延出部のそれぞれに及ぶ牽引力の強さを順次分散させることができる。このため、従来の貼付材の扱いに熟練していない者であっても、本貼付材であれば、貼付する際に一つの延出部のみに牽引力が局所的に集中して及ぶことを容易に避けることができるため、それぞれの延出部が貼付された皮膚部分に不自然な陥凹が生じないように貼付しやすい。また、本貼付材は、牽引力の強さを第1延出部と第2延出部とに順次分散させながら、図3(c)に示すように、第1延出部と第2延出部との間にある広範な方向へ向けて弛んだ皮膚を更に強力に牽引することができるため、弛みを矯正された皮膚が自然な外観となるように貼付しやすい。
【0039】
よって、本発明によれば、シワ、弛みを生じた皮膚を矯正する効果が大きく、皮膚に不自然な陥凹が生じにくい貼付材を提供することができる。このため、本発明に係る貼付材は、好ましくは、皮膚矯正用の貼付材として用いられる。また、さらに好ましくは、老人性顔貌を若々しく自然な顔貌に矯正するための、老人性顔貌の矯正用の貼付材として用いられる。この本発明の効果は、基部及び第1延出部を一端部から第1延出部の第1先端部へ向かう方向に牽引しながら、基部を弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付してから第1延出部の第1先端部を貼付し、次いで、第1延出部を牽引しながら貼付した方向とは別方向に第2延出部の第2先端部を牽引しながら貼付する貼付方法をとることで、更に発揮される。
【0040】
貼付材1aLは、好ましくは、図1(b)に示すように、皮膚当接面13aを被覆する剥離紙14aを備える。この剥離紙14aが剥離されるまで、皮膚当接面13aが保護される。この剥離紙14aは、さらに好ましくは、皮膚当接面13aから少ない力で簡単に剥がすことができる素材のものである。このような剥離紙14aの素材としては、例えば、紙の片面にシリコン処理を施したもの、紙とポリオレフィン薄膜とを貼り合わせたものの片面にシリコン処理を施したもの、あるいはポリエステルフィルムにシリコン処理を施したものが挙げられる。また、剥離紙14aは、皮膚当接面13aを被覆する部分から突出した摘み部16が設けられていると、剥離しやすいため好ましい。
【0041】
貼付材1aLが剥離紙14aを備える場合、図1(b)及び図2(a)に示すように、この剥離紙14aは、切れ目(ハーフカット)17aが設けられていることが好ましい。切れ目17aは、図2(a)に示す第1延出部3aLと第2延出部6aLのそれぞれの根元部23aを横断するように剥離紙14aに設けられる。また、切れ目17aは、各々根元部23aごとに向きを変えて設けられる。あるいは、切れ目17aに代わり、製造工程を簡略化するために、全ての根元部23aを同じ向きで横断する切れ目24aが設けられても良い。図1(b)及び図2(a)に示すように、切れ目17a又は切れ目24aが設けられた剥離紙14aは、基部2aLの皮膚当接面13aを被覆する基部被覆部分25aと、第1先端部5aの皮膚当接面13aを被覆する第1先端部被覆部分26aと、第2先端部22a(図1(b)で不図示)の皮膚当接面13aを被覆する第2先端部被覆部分27a(図1(b)で不図示)と、に分断されている。
【0042】
剥離紙14aに切れ目17a又は切れ目24aが設けられている場合の貼付材1aLについて、その貼付方法の手順を説明する。図4(a)に示すように、剥離紙14aの基部被覆部分25aを剥離する。第1先端部被覆部分26a及び第2先端部被覆部分27aは、切れ目17a又は切れ目24aにより基部被覆部分25aから分断されているため、皮膚当接面13a上に残る。このため、貼付材1aLを貼付するときに、第1先端部5aや第2先端部22aを指先で摘んで牽引しやすい。
【0043】
次に、例えば、一端部4aと第1先端部5aとをそれぞれ別の手の指先で摘んで、一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引する。このように牽引しながら、図4(b)に示すように、一端部4aのみを弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付する。続けて、基部2aL及び第1延出部3aLを、一端部4aから第1延出部3aLの第1先端部5aへ向かう方向に牽引しなが