多層板紙の製造方法および得られた多層板紙

公开(公告)号:
JP2018517074A
公开(公告)日:
2018-06-28
申请号:
JP2017560760
申请日:
2016-05-19
授权日:
-
受理局:
日本
专利类型:
发明申请
简单法律状态:
失效
法律状态/事件:
撤回-主动撤回
IPC分类号:
D21H27/00 | D21H21/22 | B65D65/40
战略新兴产业分类:
-
国民经济行业分类号:
C2689 | C2212 | C2223 | C2211 | C2222 | C2662 | C3541 | C2221 | C2661
当前申请(专利权)人:
ライズ·インヴェンティア·アクチエボラグ
原始申请(专利权)人:
インヴェンティア·アクチボラゲット
当前申请(专利权)人地址:
スウェーデン
工商统一社会信用代码:
-
工商登记状态:
-
工商注册地址:
-
工商成立日期:
-
工商企业类型:
-
发明人:
ミカエル·アンケルフオルス | トム·リンドストレム | グンボリ·グラード-ノードマルク
代理机构:
-
代理人:
松谷 道子 | 森住 憲一
摘要:
本発明は、以下のステップ:i)セルロース系繊維を含み、第1パルプスラリー中の前記セルロース系繊維の乾燥重量として計算して、0.1〜40重量%のパルプ稠度を有する前記第1水性パルプスラリーを準備するステップ;ii)前記第1パルプスラリーに、前記第1パルプスラリー中の0.0001M〜0.5Mのアルミニウムイオンの合計モル濃度まで、Al3+イオンを含むアルミニウム金属塩を添加するステップ;iii)第1パルプスラリーをpH3.0〜pH6.0のpHに調整するステップ;iv)第1パルプスラリーを少なくとも60℃の温度で脱水および硬化して、それにより、硬化パルプ生成物を得るステップ; を含む方法により得られる硬化パルプ生成物から得られる中間層を含んでなる多層板紙の製造方法に関する。 【選択図】図1
技术问题语段:
【発明が解決しようとする課題】 【0005】 このように、繊維の嵩を増やす既知の方法は存在するにしても、板紙、特に包装板紙の製造に関連する使用に好適な方法を提供する必要性がある。 【0006】 本発明の1つの目的は、包装材料としての使用に好適な低密度板紙を提供することである。 【0007】 本発明の1つの目的は、繊維を処理して膨化糸を得るための、硬化パルプ生成物の製造方法を提供することである。 【0008】 本発明の1つの目的はまた、先行技術の低密度材料の製造に関連して認められた問題を最小化することである。 【0009】 本発明では、セルロース系繊維を処理して、軽量のセルロース系材料を得る。この処理は「膨化糸」を提供し、これは、嵩高い板紙材料を作製するために使用でき、同時に、より低い坪量で曲げ剛性を維持することができる。あるいは、膨化糸を使って、坪量を維持して曲げ剛性を高めてもよい。 【0010】 硬化パルプ生成物から、低密度を有する、すなわち、嵩の高い多層板紙の製造方法を提供することは本発明の1つの目的である。板紙の密度が低くなり、同時に、特に、板紙製造方法において乾燥紙力増強剤の使用により、板紙材料の曲げ剛性を、より高い密度を有する材料に比べて、少なくとも同じレベルに維持することができる。 【0011】 その後の製紙プロセスにおいて保水値の大きな低下をもたらすパルプの処理方法を提供することも本発明の1つの目的である。保水値の低下は、脱水およびプレス効率にとって有益となり、プレスセクション後により高い乾燥含量をもたらす。それにより、板紙製造中の乾燥方法における乾燥エネルギーの必要性を減らすことができる。したがって、処理ステップがパルプ工場で行われ、パルプが統合されていない紙/板紙工場で使用される場合、板紙製造中の資源効率は、材料およびエネルギー効率の両方の観点で遥かに高くなるであろう。 【0012】 本発明のさらなる目的と利点は、以下の本発明の開示から明らかとなろう。
技术功效语段:
【0014】この方法では、ステップii)およびiii)の酸性条件下でアルミニウムイオン(カチオン)で繊維が処理される場合、繊維の角質化が増大し、それにより、より剛性の高い繊維が得られる。角質化は、水除去または乾燥/硬化時に起こるリグノセルロース系繊維材料における不可逆的内部結合を意味する。角質化した繊維は、非角質化繊維と同程度には膨潤せず(すなわち、多くの水を取り込むことができない)、この差異は、例えば、保水値の減少として測定できる。不可逆性結合はまた、繊維中のポリマー構造の剛化に繋がり、より剛性の高い繊維から作製された紙は、より嵩高い。したがって、本発明の第1の態様による方法は、膨化糸を提供し、製紙プロセス中に容易に脱水するウェブをもたらす。
权利要求:
【請求項1】 最上層、中間層および最下層を含む少なくとも3層を含む多層板紙の製造方法であって、 i) セルロース系繊維を含み、第1パルプスラリー中の前記セルロース系繊維の乾燥重量として計算して、0.1〜40重量%のパルプ稠度を有する第1水性パルプスラリーを準備するステップ; ii) 第1パルプスラリーに、第1パルプスラリー中の0.0001M〜0.5Mのアルミニウムイオンの合計モル濃度まで、Al3+イオンを含むアルミニウム金属塩を添加するステップ; iii) 任意に、第1パルプスラリーをpH3.0〜pH6.0のpHに調整するステップ; iv) 第1パルプスラリーを少なくとも60℃の温度で脱水および硬化して、それにより、硬化パルプ生成物を得るステップ; v) 硬化パルプ生成物を板紙の製造プロセスに供給するステップ; vi) 前記硬化パルプ生成物を再スラッシュ化して、水性の第2パルプスラリーを得るステップ; vii) 第2パルプスラリーを板紙抄紙機のワイヤーセクションに圧送し、多層板紙の中間層を形成し、および多層板紙の他の層のために、パルプスラリーを板紙抄紙機のワイヤーセクションに圧送するステップ; viii) 第2パルプスラリーおよび多層板紙の他の層のパルプスラリーを脱水し、パルプのウェブを得るステップ; ix) パルプのウェブを乾燥して、乾燥した多層板紙を得るステップ を含む、方法。 【請求項2】 前記方法のステップiv)において、第1パルプスラリーが気流乾燥により、100℃〜300℃、好ましくは150℃〜270℃、最も好ましくは180℃〜240℃の温度で硬化される、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 硬化時間が、5分未満、好ましくは1分未満である、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記方法のステップiv)において、第1パルプスラリーが、加熱空気または蒸気により、60〜150℃の温度で硬化される、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記方法のステップiv)において、前記硬化パルプ生成物が、硬化ウェブの形態で得られる、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 前記方法が、前記パルプの硬化ウェブをシートに切断し、前記シートを積層してベールパルプにすることを含むステップx)をさらに含む、請求項5に記載の方法。 【請求項7】 前記方法のステップiv)において、前記硬化パルプ生成物が、硬化パルプ生成物の総重量を基準にして、50%未満、好ましくは30%未満、最も好ましくは15%未満の含水量が得られるまで硬化される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 【請求項8】 前記方法のステップii)において、第1パルプスラリーに、第1パルプスラリー中の0.0001〜0.05Mのアルミニウムイオンの合計モル濃度まで、Al3+イオンを含む前記金属塩が添加される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。 【請求項9】 第1水性パルプスラリーのパルプ稠度が、第1パルプスラリー中のセルロース系繊維の乾燥重量として計算して、0.5〜30%、好ましくは1〜20%である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。 【請求項10】 第1水性パルプスラリーが、クラフト、ソーダ、亜硫酸、機械、サーモメカニカル、セミケミカルまたはケミサーモメカニカルパルプ、再生パルプまたはこれらの混合物から選択されるパルプを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。 【請求項11】 前記方法が、乾燥強度助剤または湿潤強度向上樹脂を第2パルプスラリーに添加することをさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の方法により得られる板紙。 【請求項13】 板紙製品が、SCAN-P-88:01に準拠して、150〜600kg/m3の構造密度を有する、請求項12に記載の板紙。
技术领域:
【0001】 本発明は、添付の特許請求の範囲で定められる多層板紙製品の製造に使用するための硬化パルプ生成物の製造方法に関する。
背景技术:
【0002】 板紙の包装材料は、種々の物品を包装して物品の機械的および/または化学的保護を付与するために、長い間使用されてきた。物品の十分な保護を確実にするために、優れた機械的強度を有する軽量の包装材料に対する需要がますます高まっている。 【0003】 膨化糸(bulking fibre)は、歴史的にはティッシュ製造の分野で使用され、発展してきたものである。この分野では、柔らかい構造が一定の顧客価値を有する。典型的な処理には、クエン酸/触媒などの架橋剤による処理および/またはカール処理を必要とする。また、断熱、遮音、または緩衝材として使用されるセルロース系繊維板材料に関して、板材の密度を低下させるためにいくつかの開発研究が実施されてきた。しかし、このような材料は、包装材料としての使用には適さないであろう。理由は、例えば、このような材料は、包装材料としての機械的特性に対するものと同じ要件を満たさないからである。例えば、特開昭54-138060号は、断熱または遮音材料または緩衝材として使用するための低密度難燃性セルロース系繊維板の製造方法を開示している。この方法では、最初に木材パルプをリン酸アンモニウム水溶液に含浸して、板材を不燃性にする。その後、木材パルプを乾燥し、130〜170℃に加熱してリン酸セルロースを得る。その後、リン酸セルロースを2.5%の濃度に再スラッシュ化し、リン酸セルロースを水中で叩解させる。次に、硫酸アルミニウムなどの多価金属塩を使って、pHを2.7〜6.5に調節する。次いでスラリーを繊維板に成形し、脱水し、100〜125℃で1〜3時間乾燥する。処理により、繊維束は体積が増加し、したがって、板紙は低密度を取得し得る。しかし、硬化されたリン酸塩含浸ウェブが再スラッシュ化された後、最終板材ウェブの脱水前に、得られたリン酸セルロースに金属塩が添加される。また、リン酸アンモニウムは難燃剤として使用されているものであり、したがって、包装材料に好適な、環境に優しく、作業環境での使用で安全な材料を見つけるという必要性が存在する。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】 特開昭54-138060号公報
发明内容:
【発明が解決しようとする課題】 【0005】 このように、繊維の嵩を増やす既知の方法は存在するにしても、板紙、特に包装板紙の製造に関連する使用に好適な方法を提供する必要性がある。 【0006】 本発明の1つの目的は、包装材料としての使用に好適な低密度板紙を提供することである。 【0007】 本発明の1つの目的は、繊維を処理して膨化糸を得るための、硬化パルプ生成物の製造方法を提供することである。 【0008】 本発明の1つの目的はまた、先行技術の低密度材料の製造に関連して認められた問題を最小化することである。 【0009】 本発明では、セルロース系繊維を処理して、軽量のセルロース系材料を得る。この処理は「膨化糸」を提供し、これは、嵩高い板紙材料を作製するために使用でき、同時に、より低い坪量で曲げ剛性を維持することができる。あるいは、膨化糸を使って、坪量を維持して曲げ剛性を高めてもよい。 【0010】 硬化パルプ生成物から、低密度を有する、すなわち、嵩の高い多層板紙の製造方法を提供することは本発明の1つの目的である。板紙の密度が低くなり、同時に、特に、板紙製造方法において乾燥紙力増強剤の使用により、板紙材料の曲げ剛性を、より高い密度を有する材料に比べて、少なくとも同じレベルに維持することができる。 【0011】 その後の製紙プロセスにおいて保水値の大きな低下をもたらすパルプの処理方法を提供することも本発明の1つの目的である。保水値の低下は、脱水およびプレス効率にとって有益となり、プレスセクション後により高い乾燥含量をもたらす。それにより、板紙製造中の乾燥方法における乾燥エネルギーの必要性を減らすことができる。したがって、処理ステップがパルプ工場で行われ、パルプが統合されていない紙/板紙工場で使用される場合、板紙製造中の資源効率は、材料およびエネルギー効率の両方の観点で遥かに高くなるであろう。 【0012】 本発明のさらなる目的と利点は、以下の本発明の開示から明らかとなろう。 【課題を解決するための手段】 【0013】 上記目的は、添付の特許請求の範囲で定められる本発明による方法により達成され、これは、第1の態様では、最上層、中間層および最下層を含む少なくとも3層を含む多層板紙の製造方法に関し、該方法は、 i) セルロース系繊維を含み、第1パルプスラリー中のセルロース系繊維の乾燥重量として計算して、0.1〜40重量%のパルプ稠度を有する第1水性パルプスラリーを準備するステップ; ii) 第1パルプスラリーに、第1パルプスラリー中の0.0001M〜0.5Mのアルミニウムイオンの合計モル濃度まで、Al3+イオンを含むアルミニウム金属塩を添加するステップ; iii) 任意に、第1パルプスラリーをpH3.0〜pH6.0のpHに調整するステップ; iv) 第1パルプスラリーを少なくとも60℃の温度で脱水および硬化して、それにより、硬化パルプ生成物を得るステップ; v) 硬化パルプ生成物を板紙の製造プロセスに供給するステップ; vi) 硬化パルプ生成物を再スラッシュ化して、水性の第2パルプスラリーを得るステップ; vii) 第2パルプスラリーを板紙抄紙機のワイヤーセクションに圧送し、多層板紙の中間層を形成し、および多層板紙の他の層のために、パルプスラリーを板紙抄紙機のワイヤーセクションに圧送するステップ; viii) 水性の第2パルプスラリーおよび多層板紙の他の層のパルプスラリーを脱水し、パルプのウェブを得るステップ; ix) パルプのウェブを乾燥して、乾燥した多層板紙を得るステップ、を含む。 【0014】 この方法では、ステップii)およびiii)の酸性条件下でアルミニウムイオン(カチオン)で繊維が処理される場合、繊維の角質化が増大し、それにより、より剛性の高い繊維が得られる。角質化は、水除去または乾燥/硬化時に起こるリグノセルロース系繊維材料における不可逆的内部結合を意味する。角質化した繊維は、非角質化繊維と同程度には膨潤せず(すなわち、多くの水を取り込むことができない)、この差異は、例えば、保水値の減少として測定できる。不可逆性結合はまた、繊維中のポリマー構造の剛化に繋がり、より剛性の高い繊維から作製された紙は、より嵩高い。したがって、本発明の第1の態様による方法は、膨化糸を提供し、製紙プロセス中に容易に脱水するウェブをもたらす。 【0015】 本出願では、第1の値から第2の値までの間隔について記載される場合、請求された間隔内の、末端の値を含む任意の個々の値も選択され得ることを意味するという点に留意されたい。例えば、「0.1〜40重量%」のパルプ稠度に関して、その間隔内の任意の値、例えば、0.1%、10%、または40%をパルプ稠度として選択し得ることを意味する。さらに、一例として、同様の方式で、pHは、3.0〜6.0の請求間隔内の任意のpH値であるように選択してよく、例えば、pH3.0、3.5、pH5.0、またはpH6.0とすることができる。 【0016】 一実施形態では、第1パルプスラリーは脱水され、その後または同時に、気流乾燥により硬化される。気流乾燥は、例えば、熱シリンダーによる乾燥の場合より高い温度で適切に行われ、温度は、パルプスラリーの熱感度に応じて、100〜300℃とすることができる。また、硬化時間は、気流乾燥が使用される場合には、通常短い。気流乾燥により、さらなる膨化効果、すなわち、より高い嵩で、より低い密度が得られ得る。したがって、方法のステップiv)では、第1パルプスラリーは気流乾燥により、100℃〜300℃、好ましくは150℃〜270℃、最も好ましくは180℃〜240℃の温度で硬化できる。硬化時間は、5分未満、好ましくは1分未満とすることができる。したがって、従来の硬化方法に比べて、基本的に短い硬化時間を得ることができる。 【0017】 別の実施形態では、方法のステップiv)において、第1パルプスラリーは、加熱空気または蒸気により、60℃〜150℃の温度で硬化される。加熱空気または蒸気は、直接的に第1パルプスラリーを加熱する、または間接的に、例えば、空気または蒸気加熱シリンダーにより、第1パルプスラリーを加熱することができる。硬化中の温度が高ければ高いほど、嵩が高くなり、したがって、高い膨化効果が想定される。方法のステップiv)において、加熱空気または蒸気を硬化方法として使用することにより、ウェブの形態の硬化パルプ生成物、すなわち、硬化ウェブを得ることが可能となる。ウェブはその後、収集され、ウェブロールに巻き取られた後、製紙工場に供給され得る。次に、方法は、硬化ウェブをシートに切断
具体实施方式:
【0029】 より軽量でより強い包装材料などの紙系材料に対する必要性があると長い間考えられてきた。本発明の発明者らは、板紙材料の嵩を高め、したがって、より軽量の包装材料をもたらし、同時に、化学的添加物を使用することにより、包装目的に対するその材料の機械的特性を十分に維持できる、経済的で効率的な方法を見出した。 【0030】 板紙は、セルロース系繊維を含むパルプから作製される材料を指す。板紙は、ワイヤーで繊維を脱水した後、湿潤ウェブ(単一または複数)を一緒にプレスし、その後、ウェブを薄い可撓性材料に乾燥することにより、セルロース系繊維から製造される。板紙は、単層製品であってもよく、または多層板紙製品であってもよく、またはパルプを含み、したがって繊維を含むいくつかの層を含む多重板紙製品であってもよい。本発明による板紙は、最上層、中間層および最下層、すなわち、2つの表面層が存在する少なくとも3層を含む、多層板紙である。多層板紙は、少なくとも1つの中間層、例えば、1〜10層を含み得る。中間層の好適な数は、1〜5で、最も好ましくは1、2または3である。繊維を含む各層は、板紙抄紙機のそれぞれのヘッドボックスからワイヤーセクションへ水性のパルプを適切に圧送することにより形成される。板紙抄紙機のワイヤーセクションは、1つまたは複数のワイヤーを含んでよい。適切には、板紙抄紙機は、含まれるヘッドボックスと同じ数のワイヤーを含むが、しかし、多層ウェブまたはシートを形成可能な単一ヘッドボックスを用いて多層ウェブを形成することもできるので、脱水に必要なワイヤーの数は少なくなる。マルチワイヤー方式の場合には、個別層を抄き合わせる。形成された湿潤ウェブはその後、主に、板紙抄紙機のプレスセクションで脱水され、最終的に板紙抄紙機の乾燥セクションで乾燥される。板紙は通常、200g/m2を超える、適切には220g/m2を超える坪量を有する。しかし、本発明の多層板紙の坪量は、120g/m2もの小ささとし得るが、好ましくは少なくとも160g/m2である。 【0031】 セルロース系繊維は、クラフト、ソーダ、亜硫酸、機械、サーモメカニカルパルプ(TMP)、セミケミカルパルプ(例えば、中性の亜硫酸セミケミカルパルプ(NSSC))、再生パルプまたはケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、またはこれらの混合物から選択されるパルプを含む非漂白または漂白パルプ由来の繊維である。パルプの原材料は、板紙/段ボールの作製に好適な軟木、堅木、再生繊維、または非木材繊維を元にすることができる。軟木種は、例えば、限定されないが、エゾマツ、マツ、モミ、カラマツ、ヒマラヤスギ、およびツガとすることができる。本発明の出発材料として有用なパルプの元になる堅木種の例には、限定されないが、カバノキ、オーク、ポプラ、ブナノキ、ユーカリ、アカシア、カエデ、ハンノキ、ヤマナラシ、ゴムノキ、およびイエマネを挙げることができる。原材料は主に軟木を含むのが好ましい。原材料は異なる軟木の混合物、例えば、マツとエゾマツ、を含んでよい。原材料は、非木材原材料、例えば、竹とバガスを含んでもよい。原材料は、軟木、堅木、および/または非木材の内の少なくとも2種の混合物であってもよい。 【0032】 パルプ稠度は、水性パルプスラリー中の乾燥物含量を意味する。すなわち、例えば、10%の稠度は、パルプスラリーの総重量を基準にして、乾燥分の重量が10%であることを意味する。 【0033】 本発明の方法では、生成された第1パルプスラリーは硬化される。本出願では、硬化は、水の蒸発に加えて、物理的または化学的反応が材料中で起こることを意味する。乾燥は、材料からの水の蒸発を意味する。 【0034】 脱水は、水が湿潤パルプウェブから除去される一連の工程である。脱水は、ウェブ形成中にワイヤー上で、例えば、圧力、真空、または遠心力により、機械的に実施できる。脱水は、主に、機械的な力、例えば、板紙抄紙機のプレスセクションでの、例えば、プレスにより実施される。ワイヤーおよび/または機械的な脱水による脱水後、ウェブは乾燥セクションに進めることができ、そこで、ウェブ中の残りの水/水分が熱により蒸発され、これは熱脱水とも呼ばれる。乾燥セクションは、様々な方法で設計し得、例えば、多筒式ドライヤー装置を含むことができる。 【0035】 含水量は、重量%で表した含水量を意味し、材料の総重量を基準にしている。 【0036】 保水値は、繊維の水を取り込み、膨潤する能力の指標を与える試験値を意味し、本出願では、他の方法が記載されない限り、標準的方法のSCAN-C62:00により測定される。 【0037】 本出願では、再パルプ化の定義は、再スラッシュ化または再スラリー化と同義に使用され、硬化パルプが水中に再懸濁され、セルロース系繊維を含む水性懸濁液を得ることを意味する。 【0038】 本出願では、膨化糸は、処理後、処理されていない繊維より大きい嵩高さの材料構造が得られる繊維を意味する。膨化効果は、処理されていない材料に比べて、材料の密度を低下させる効果を意味する。 【0039】 モル濃度は、混合物の1dm3または1リットル中の物質の濃度または量(モル)を意味し、例えば、金属イオンのモル濃度は、水および金属塩を含む1リットルの水溶液中のイオンのモル数に等しい。 【0040】 方法の説明 既に前述したように、より高い嵩を有する板紙を製造するのが望ましい。しかし、先行技術の解決策にも係わらず、いまだ、嵩高い板紙を経済的、効率的に製造する必要性がある。既存の方法装置を使って板紙を製造できること、および方法パラメータがパルプの膨化処理により大きく影響を受けないことも望ましい。したがって、板紙工場で使われる処理パルプ材料の特性が製造方法に悪影響を与えないことが重要である。既存の板紙工場での板紙製造は、可能な限りわずかな修正で実施できるのが望ましい。 【0041】 本発明の方法により、ウェブまたはベールパルプの形態で、板紙のさらなる製造のための硬化パルプ生成物を提供できる。硬化パルプ生成物は、フレークなどの易流動性材料の形であってもよい。 【0042】 パルプは膨化糸を得るように化学的に処理される。第1パルプ生成物はその後、板紙工場に供給できる。パルプが酸性条件およびアルミニウムイオンの存在下で硬化される場合、パルプ材料のさらなる処理の前に、パルプ材料の内部構造が安定化され得る。したがって、板紙製造中に再スラッシュ化された場合、繊維は処理されていない繊維より少ない膨潤を示す。それにより、例えば、本発明の硬化パルプ生成物が使用される場合、硬化されていないパルプ材料に比べて、顕著に低い保水値を得ることができる。これは、板紙抄紙機でのプレス効率にとって有益である。それにより、板紙抄紙機のプレスセクション後に、より高い乾燥含量を得ることができる。 【0043】 本発明の方法は、非処理パルプより高い嵩を有するパルプを作製する効率的な方法を提供することが明らかになった。また、パルプはより高い固形分含有量に機械的にプレスでき、したがって、乾燥エネルギーが節約される。さらなる利点は、乾燥能力に劣る板紙抄紙機の生産性を高めることができることである。 【0044】 本発明の方法を図1に示す。この図では、方法のステップがフローチャートで示されている。本発明の方法により、板紙の製造での使用に好適な硬化パルプ生成物を得ることができる。方法の最初のステップでは、ステップi)で、第1水性パルプスラリーが用意される。第1パルプスラリーは、セルロース系繊維を含み、第1パルプスラリー中のセルロース系繊維の乾燥含量として計算して、0.1〜40重量%のパルプ稠度を有する。したがって、第1パルプスラリーは、1%〜4%の乾燥含量を有する低稠度パルプ、8%〜12%の乾燥含量を有する中稠度パルプ、または20%〜40%の乾燥含量を有する高稠度パルプであってよい。パルプは、必要に応じ、示した値の中間の稠度を有してもよい。適切な稠度は、第1パルプスラリー中のセルロース系繊維の乾燥含量として計算して、1%〜20%である。 【0045】 原材料は、板紙/段ボールの作製に好適な軟木、堅木、再生繊維、または非木材繊維のいずれか、またはこれらの混合物から選択してよい。第1パルプスラリーは、クラフト(硫酸)、ソーダまたは亜硫酸パルプなどのケミカルパルプを含む、またはこれらから構成できる非漂白または漂白パルプを含んでも、またはこれらから構成してもよい。パルプはまた、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、セミケミカルパルプ(例えば、中性亜硫酸セミケミカルパルプ;NSSC)、再生パルプまたはケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)を含んでも、またはこれらから構成されてもよい。パルプは1つの種類のパルプから構成されてもよく、またはパルプは2種またはそれを超えるパルプを混合物として含んでもよい。セルロース系繊維は、ケミカルパルピング方法に由来するのが好ましく、これは、高品質パルプをもたらす。適切には、繊維はクラフトパルピング方法由来である。 【0046】 次の方法ステップii)では、アルミニウム(Al3+)金属イオンを含むアルミニウム金属塩が第1パルプスラリーに添加される。金属塩は、第1スラリー中の0.0001M〜0.5Mのアルミニウムイオンの合計モル濃度まで添加される。多価金属塩を、乾燥履歴のない第1パルプのスラリーに添加することにより、膨化糸を得ることができる。繊維の構造は、硬化後に安定化され、したがって、より高い嵩を有する板紙製品製造方法に使用可能な硬化パルプ生成物が得られる。これにより、低密度板紙材料を得ることができる。 【0047】 アルミニウム金属塩は、0.0001M〜0.05Mの金属イオンの合計モル濃度までパルプに添加されるのが好ましい。アルミニウム塩の添加により、パルプスラリーのpHを酸性のpHの方向に調節することも可能である。 【0048】 ステップii)における多価金属塩の対イオンは、任意の好適な対イオンであってよく、例えば、Cl-、NO3-もしくはSO42-または任意の他の好適な対イオンとすることができ、これは、水中で多価金属イオンから解離する。このような塩はまた、多くの場合、製紙で使用され、その方法に好適である。 【0049】 アルミニウム金属塩の添加後、第1パルプスラリーのpHは制御され、任意に、方法のステップiii)で、pH3.0〜pH6.0の間のpH値に調節される。 pHがpH3.0〜pH6.0の範囲内である場合は、追加の酸の添加は必要ではない。しかし、pHがその範囲内にない場合は、酸性pH側への調節が必要であり、調節は、ステップii)で使われる金属塩以外の酸または塩基を使って実施できる。例えば、酸は硫酸であってよい。 【0050】 本発明のステップiii)による任意のpH調節後の方法の1つの変形例では、スラリーを洗浄し得る。このようにして、スラリーから余剰イオンを除去できる。 【0051】 pHの調節後、第1パルプスラリーは、脱水され、方法のステップiv)で硬化されて、硬化パルプ生成物が得られる。ステップiv)における第1パルプスラリーの脱水および硬化中の酸性条件は、硬化パルプ生成物から作製される板紙の嵩を高める。これは、酸性条件下、特にAl3+イオンの存在下で硬化した場合に、セルロース系繊維の角質化が増えるという理由による。これは、繊維が水性懸濁液中で、非処理繊維より剛性になることを意味する。化学的/物理的反応に加えて、硬化温度が少なくとも60℃であることから、水も蒸発する。したがって、硬化は、含水量が50%未満になるまで実施される。含水量は、30%未満、最も好ましくは15%未満であるのが好ましい。通常、パルプスラリーは、含水量のレベルが0%〜5%に達するまで硬化される。実用的な理由から、パルプは少量の水分を含むことが多い。 【0052】 硬化温度が硬化パルプ生成物の嵩に影響を与えること、すなわち、より低い密度は硬化温度を高めることにより得られ得ることも注目された。したがって、本発明の一実施形態では、硬化が加熱空気/蒸気によりまたは蒸気加熱乾燥シリンダーにより実施される場合、第1パルプスラリーの硬化温度は、約60℃〜約150℃まで、好ましくは80℃〜120℃とすることができる。加熱空気または蒸気は、直接的に第1パルプスラリーを加熱する、または間接的に、例えば、空気または蒸気加熱シリンダーにより、第1パルプスラリーを加熱することができる。適切には、第1パルプスラリーは、特定の温度で、3時間未満の時間、硬化される。ウェブロールに巻き取られるとき、またはシートのベールに積層されるとき、パルプ生成物の温度がゆっくりと低下し、この硬化時間も約3時間未満の硬化時間中に含めることができ、ベールに固められたウェブまたはシートの形態のパルプスラリーはこの間に硬化し続ける。 【0053】 あるいはまたは加熱空気もしくは蒸気または蒸気熱シリンダーによる硬化にさらに追加して、第1パルプスラリーは、渦流動化とも呼ばれる気流乾燥により硬化できる。このような乾燥機は当技術分野において既知であり、例えば、GEA Process Engineering A/SまたはAndritz AG社により提供されている。気流乾燥の使用により、乾燥温度は、熱シリンダーにより乾燥する場合より高くでき、その温度は、第1パルプスラリーの硬化条件に対する感度に応じて、100℃〜300℃とすることができる。また、硬化時間は、気流乾燥が使用される場合には、より短くできる。気流乾燥により、さらなる膨化効果、すなわち、より高い嵩で、より低い密度を得ることができ、易流動性材料が得られる。さらに、第1パルプ生成物の嵩はさらに高められ得る。 【0054】 多価金属塩を含む第1パルプスラリーは、それの再スラッシュ化の前に硬化されるので、紙または板紙製造方法では、板紙製造中に嵩を高め、保水値を著しく低下させることができる。プレス効率を大きく改善でき、プレスセクション後、より高い乾燥含量を得ることができ、それにより、乾燥のために必要なエネルギーはより小さくなる。処理は、適切には、パルプ工場で行われ、パルプは統合されていない紙/板紙工場で使用されるので、統合されていない紙/板紙工場での材料およびエネルギー効率の両方の観点からの資源効率は、遥かに高くなるであろう。 【0055】 ステップiv)で得られた硬化パルプ生成物は、硬化ウェブまたはフレークの形で得ることができる。硬化ウェブは、そのままで、および例えば、ウェブロールに巻き取られて製紙プロセスに供給できる。別の選択肢としては、硬化パルプ生成物は、気流乾燥により硬化された場合、易流動性の生成物として供給できる。任意に、ステップx)で、ウェブとして供給される硬化パルプ生成物は、シートに切断できる。あるいは、フレークはシートに形成できる。シートはその後、積層してベールパルプを得ることができる。ベールパルプは、その後、板紙工場へ容易に輸送でき、そのために、製紙プロセスに容易に供給できる。 【0056】 硬化パルプ生成物は板紙の製造に使用され、したがって、方法の次のステップのステップv)では、硬化パルプ生成物が、例えば、それを板紙工場に輸送することにより、板紙の製造プロセスに供給される。硬化パルプ生成物はその後、方法ステップvi)の再スラッシュ化に供されて、第2パルプスラリーが得られる。ステップvii)では、第2パルプスラリーまたは多層板紙の他の層のための複数パルプスラリーは、板紙抄紙機のワイヤーセクションに圧送される。第2パルプスラリーおよび多層板紙の他の層のための複数パルプスラリーはその後、方法ステップviii)で脱水され、パルプのウェブが得られる。パルプのウェブはその後、方法ステップix)で乾燥され、それにより、包装板紙としての使用に好適な板紙である、本発明の硬化パルプ生成物の中間層を含む嵩高い板紙が得られる。板紙はこのようにして、既存の装置を使用することにより製造することができ、当該技術分野において既知の乾燥含量、添加剤およびその他の製紙プロセスパラメータを使用できる。 【0057】 アルミニウムイオンを含むアルミニウム金属塩で処理された膨化糸を含む板紙材料では、繊維間の結合強度(例えば、z強度)またはその他の強度特性が弱くなり得るというリスクが存在する可能性がある。すなわち、例えば、SCAN-P80:98に準拠して測定した板紙のz強度が弱まる可能性がある。膨化糸で作製した板紙の強度を高めるために、いくつかの異なるグループの好適な乾燥強度助剤が存在する。この助剤には、限定されないが、ミクロフィブリル化セルロース、セルロースナノフィブリル、セルロースフィラメント、ナノ結晶性セルロースなどのナノセルロース系材料、微細繊維または微細繊維濃縮パルプ、デンプンおよびゴム誘導体、アクリル酸、ビニルピリジン、2-アミノエチルメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアミンエチルアクリレート、スチレンおよびグリオキサール化ポリアクリルアミドなどのアクリルアミドとの合成コポリマーが挙げられる。後者のグループはまた、カチオン性モノマーと適切に共重合される。尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂またはポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂などの湿潤強度向上樹脂はまた、膨化糸の乾燥強度を高めるために有用である。このような乾燥強度助剤または湿潤強度向上樹脂は、適切に、板紙製造中に第2パルプスラリーに添加され、それにより、最
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