IPC分类号:
A47C7/38 | B60N2/48
国民经济行业分类号:
C2190 | C2110 | C2120 | C2042 | C2130 | C2140
当前申请(专利权)人:
株式会社荒井製作所 | 株式会社イノアックコーポレーション
原始申请(专利权)人:
株式会社荒井製作所 | 株式会社イノアックコーポレーション
当前申请(专利权)人地址:
愛知県愛西市須依町2189番地 | 愛知県名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号
工商成立日期:
1951-12-01|1954-01-01
摘要:
【課題】輸送コストなどの削減によって製造コストを大幅に削減することができるヘッドレストステーの製造方法を提供する。
【解決手段】パッドを含むヘッドレスト本体20内に埋設される埋設部16と、シートバックの頂部に差し込まれる挿入部21とを金属パイプにより一体に形成したヘッドレストステーを製造する方法である。直線状の金属パイプ材料を所定の長さに切断する工程と、切断された金属パイプ1の端面を面取りする工程と、切断された直線状の金属パイプ2の外周面の所定箇所にノッチを形成する工程と、面取りとノッチを形成した直線状の金属パイプ3の表面にめっき処理を行なうめっき工程と、めっき処理した金属パイプ4を略コ字状に曲折する曲げ工程と、を含み、曲げ工程をめっき工程の後に実施する。
【選択図】図1
技术问题语段:
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなヘッドレストに使用されるヘッドレストステーは、一般に金属パイプを略コ字状に曲折して形成され、金属パイプは、その端面が面取り加工されると共に、所定に位置にノッチ加工が施され、さらに外周面にさび止めと装飾を目的として、めっき処理が施されて製造される。
【0004】
そして、所定形状に曲げ加工され、めっき処理を施されて製造されるヘッドレストステーは、パッドを含むヘッドレスト本体をその上部に成形して取着するために、ヘッドレスト本体の製造工場に搬入される。
【0005】
ところで、ヘッドレストステーは、金属パイプを材料として金属の曲げ加工やめっき処理を行うのに対し、パッドを含むヘッドレスト本体は、ポリウレタンフォームなどの発泡材からなるパッドの表面に、布材などを含む表皮層を形成して製造するため、ヘッドレストステーとヘッドレスト本体は、通常、別個の工場或は別個の製造会社で製造される。
【0006】
このように、ヘッドレストステーは、一般に、ヘッドレスト本体とは別個の工場或は別個の製造会社で製造されるため、ヘッドレストステーを金属加工工場で製造した後、別の合成樹脂製品加工工場などのヘッドレスト製造工場に搬入することになる。また、近年、ヘッドレストの製造工場は、海外も含め全国各地に作られる場合が多く、ヘッドレストステーを製造する金属加工工場とヘッドレスト製造工場が距離的に非常に離間し、相互に遠隔地になる場合が増加している。
【0007】
そこで、ヘッドレスト製造工場内にヘッドレストステーの製造ラインを設置し、或はヘッドレスト製造工場の近傍にヘッドレストステー用の金属加工工場を設置して、ヘッドレストステーを製造することが検討されるところ、ヘッドレストステーを製造するための設備として、切削加工機、めっき処理設備、曲げ加工機などの多くの設備及び高度の加工処理技術を必要とし、高額の設備投資費用がかかるという問題が生じている。
【0008】
このため、既設の金属加工工場で製
技术功效语段:
【0015】上記の製造方法では、直線状の金属パイプに、めっき処理を施してその表面にめっき層を形成する。このため、例えばニッケルクロムめっきなどのめっき層を表面に形成した金属パイプは、良好な装飾性、耐食性、耐摩耗性を有した状態となり、表面にさびが発生せず、また、形状が直線状であって、傷が付きにくいため、簡単な結束と包装で、輸送することが可能となる。したがって、ヘッドレストステーの製造工場とヘッドレスト製造工場が相互に遠隔地にある場合、めっきされた直線状の金属パイプを、以下のように、非常に安価な輸送費で輸送することができる。
【0016】つまり、直線状の金属パイプを輸送するため、従来の立体形状に曲折されたヘッドレストステーを輸送するための専用のコンテナは不要となり、複数本の金属パイプを簡単に結束し、段ボール箱などに入れて輸送することができる。このため、従来の立体形状に曲折されたヘッドレストステーの輸送に比べ、輸送コストを大幅に削減することができる。
【0017】また、金属パイプの曲げ加工は、輸送した後で、ヘッドレスト製造工場内或はその近傍の工場に設置したベンダーにより、所定の形状に曲げ加工することができ、ベンダーによる金属パイプの曲げ加工は、切削加工、めっき処理などに比べ、前処理や後処理などの付随する処理工程がなく、遥かに簡単に加工することができる。
【0018】したがって、ヘッドレスト製造工場などの一郭に専用のベンダーを設置し、或はヘッドレスト製造工場に隣接してベンダー用の簡単な工場を設置しておけば、ヘッドレスト製造工場で必要な量のヘッドレストステーを直ぐに曲げ加工して、その製造ラインにヘッドレストステーを供給することができる。
【0019】また、請求項2のように、めっき工程において、ヘッドレストステーの埋設部となる直線状の金属パイプの中間部のめっき層の厚さを、ヘッドレストステーの挿入部となる金属パイプの両端部近傍のめっき層の厚さより、薄く形成すれば、金属パイプの中間部を曲折してヘッドレスト本体の埋設部を形成する際に、めっき層にひび割れが生じず、良好に曲げ加工を行うことができる。
【0020】また、ヘッドレストステーの挿入部となる金属パイプの両端部近傍は、充分な厚さのめっき層を形成できるため、ヘッドレストに使用された状態において、ステーの両端部が露出した状態であっても、めっき層が良好な装飾性、耐食性、耐摩耗性を有し、ヘッドレストステーとして良好に機能することができる。
【0021】さらに、薄いめっき層が形成される金属パイプの中間部は、曲折されて埋設部となってヘッドレスト本体内に埋設される部分であるため、ヘッドレストが製造され使用された後でも、そのステーの中間部のめっき層が薄いことによる弊害は全く生じない。寧ろ本来めっき層があまり必要でないヘッドレスト本体内に隠れる部分のめっき層の厚さを薄くすることにより、ニッケルやクロムといっためっき金属材料の使用量を節減して、製造コストを低減することができる。
权利要求:
【請求項1】
ヘッドレスト本体内に埋設される埋設部と、シートバックの頂部に差し込まれる挿入部と、を金属パイプにより一体に形成したヘッドレストステーの製造方法であって、
直線状の金属パイプ材料を所定の長さに切断する工程と、
切断された金属パイプの端面を面取りする工程と、
金属パイプの外周面の所定位置にノッチを形成する工程と、
面取りとノッチ形成を行なった直線状の金属パイプの表面にめっき処理を行なってめっき層を形成するめっき工程と、
めっき処理を行なっためっき金属パイプを略コ字状に曲折して両端部に前記挿入部を形成し且つ中間部に前記埋設部を形成する曲げ工程と、
を含み、該曲げ工程を該めっき工程の後に実施することを特徴とするヘッドレストステーの製造方法。
【請求項2】
前記めっき工程において、前記ヘッドレストステーの埋設部となる直線状の金属パイプの中間部のめっき層の厚さを、該ヘッドレストステーの挿入部となる金属パイプの両端部近傍のめっき層の厚さより、薄く形成することを特徴とする請求項1記載のヘッドレストステーの製造方法。
【請求項3】
前記めっき工程では電気めっきによりめっきを実施し、直線状の金属パイプをめっき用治具に保持させると共に、負極電極に接続された一方のクランプと他方のクランプにより該金属パイプの一方の端部と他方の端部を保持させて並列に配置した金属パイプをめっき槽に浸漬させ、該金属パイプの中間部付近の周囲を囲うように非導電性の遮蔽板を該めっき用治具に取り付け、めっき処理を行なうことを特徴とする請求項2記載のヘッドレストステーの製造方法。
技术领域:
【0001】
本発明は、自動車用シートのシートバックの頂部に装着されるヘッドレストの支持部材となるヘッドレストステーの製造方法に関する。
背景技术:
【0002】
自動車用シートのシートバックの頂部には、通常、ヘッドレストが装着されており、ヘッドレストは、一般に、発泡材などで成形されたパッドを含むヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体内に埋設され両端部を突出させた略コ字状のヘッドレストステーと、から構成されている(例えば下記特許文献1などを参照)。
【特許文献1】
特開2004-114959号公報
发明内容:
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなヘッドレストに使用されるヘッドレストステーは、一般に金属パイプを略コ字状に曲折して形成され、金属パイプは、その端面が面取り加工されると共に、所定に位置にノッチ加工が施され、さらに外周面にさび止めと装飾を目的として、めっき処理が施されて製造される。
【0004】
そして、所定形状に曲げ加工され、めっき処理を施されて製造されるヘッドレストステーは、パッドを含むヘッドレスト本体をその上部に成形して取着するために、ヘッドレスト本体の製造工場に搬入される。
【0005】
ところで、ヘッドレストステーは、金属パイプを材料として金属の曲げ加工やめっき処理を行うのに対し、パッドを含むヘッドレスト本体は、ポリウレタンフォームなどの発泡材からなるパッドの表面に、布材などを含む表皮層を形成して製造するため、ヘッドレストステーとヘッドレスト本体は、通常、別個の工場或は別個の製造会社で製造される。
【0006】
このように、ヘッドレストステーは、一般に、ヘッドレスト本体とは別個の工場或は別個の製造会社で製造されるため、ヘッドレストステーを金属加工工場で製造した後、別の合成樹脂製品加工工場などのヘッドレスト製造工場に搬入することになる。また、近年、ヘッドレストの製造工場は、海外も含め全国各地に作られる場合が多く、ヘッドレストステーを製造する金属加工工場とヘッドレスト製造工場が距離的に非常に離間し、相互に遠隔地になる場合が増加している。
【0007】
そこで、ヘッドレスト製造工場内にヘッドレストステーの製造ラインを設置し、或はヘッドレスト製造工場の近傍にヘッドレストステー用の金属加工工場を設置して、ヘッドレストステーを製造することが検討されるところ、ヘッドレストステーを製造するための設備として、切削加工機、めっき処理設備、曲げ加工機などの多くの設備及び高度の加工処理技術を必要とし、高額の設備投資費用がかかるという問題が生じている。
【0008】
このため、既設の金属加工工場で製造されたヘッドレストステーを、遠隔地のヘッドレスト製造工場に輸送することが、最も少ない設備投資で、現実的に実施し得る最良の方法となるが、ヘッドレストステーは金属パイプを略コ字状に曲折した立体形状であるため、簡単な結束や包装では輸送途中に荷崩れを生じ、ステーが傷つきやすい。したがって、ヘッドレストステーの包装と輸送は予想外に難しく、輸送のために専用のコンテナ(輸送箱)を作り、その専用コンテナにヘッドレストステーを順に並べるように収容し、ヘッドレスト製造工場まで輸送している。
【0009】
ところが、専用のコンテナを使用してヘッドレストステーを輸送する場合、専用コンテナを往復搬送するために手間がかかり、また、コンテナ内のヘッドレストステーは複雑な立体形状に曲折されているため、ステーの周囲に空間を設けて輸送することになり、効率の悪い輸送となって、輸送コストが非常に高くなるという課題あった。
【0010】
また、ヘッドレスト製造工場にとっては、ヘッドレストステーの輸送コストが高くなり、頻繁な輸送を避けるために、ヘッドレストステーを一度に大量に購入すると、ヘッドレストステーの在庫量を増やす結果となり、在庫量の増大によっても製造コストの増大を招きやすいという課題があった。
【0011】
具体实施方式:
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はヘッドレストステーの製造方法の工程図を示している。ここで製造するヘッドレストステーは、概略的には、直線状の金属パイプを所定の長さに切断し、その直線状の金属パイプの表面にめっきを施し、その後、めっき金属パイプを所定の略コ字状に曲折して形成される。
【0023】
図1に示すように、先ず、金属パイプ材料が所定の長さに切断され、金属パイプ1が形成される。金属パイプ材料としては、例えば厚さ約1.5〜2.0mm、外径約12mmの高張力鋼パイプが使用され、ヘッドレストの使用時、そこに所定荷重が印加されたとき、ヘッドレストの位置を保持できるように、充分に高い剛性を有するパイプ材料である。
【0024】
切断された金属パイプ1の両端面(切断面)は、鋭角に切断され、或はばりが発生している。このため、金属パイプ1は面取り機にかけられ、その両端面の角部が、斜めに面取りされる。
【0025】
さらに、面取りされた金属パイプ2の外周部の所定位置に、ノッチ5が溝状の凹部として形成される。このノッチ5は、金属パイプ3が最終的に成形されてヘッドレストステー15となったとき、ステー15の挿入部21の一方に係止部として形成されるもので、切削加工或はプレス加工によりパイプの外周の所定位置に形成される。つまり、このノッチ5は、ヘッドレストステー15を有したヘッドレストが、自動車用シートのシートバックの頂部に設けたホルダーに、ステーの挿入部21を挿入して係止する際、ホルダーの係止部材に係止される係止部となるものである。
【0026】
このように両端部を面取りされ、ノッチ5を形成された直線状の金属パイプ3は、次に、電気めっきによりめっき処理される。めっき処理として、ニッケルクロムめっきが施され、特に、そのめっき処理によるめっき金属パイプ4のめっき層の厚さは、直線状の金属パイプ4の両端部近傍と中間部とにおいて、相違させている。つまり、金属パイプ4の中間部のめっき層の厚さは、その両端部近傍のめっき層の厚さより、薄く形成するように、めっき処理が行なわれる。
【0027】
図3は、めっき処理の際に使用するめっき用治具6を示している。このめっき用治具6は、被めっき物としての直線状の金属パイプ3を、縦方向に並べて支持するための治具であり、図3に示す如く、多数の直線状の金属パイプ3を縦方向に並べて保持するように、矩形の治具枠9の上部に、上部クランプ7が所定間隔で設けられ、治具枠9の下部に下部クランプ8が上部クランプ7と同一の間隔で設けられている。被めっき物の各金属パイプ3は、その上端と下端を上部クランプ7と下部クランプ8により保持され、これにより、立てた姿勢で横方向に並べて状態で支持される。
【0028】
さらに、めっき用治具6には、その中間部に、非導電性(例えば合成樹脂製)の遮蔽板10が、金属パイプ3の両端部を除く中間部の周囲を覆うように、治具枠9に取り付けられている。この遮蔽板10は、金属パイプ3をめっき処理する際、めっき金属であるニッケルイオンが金属パイプ3の中間部に到達する割合を低下させ、金属パイプ3の中間部に形成されるめっき層の厚さを、金属パイプ3の両端部近傍のめっき層の厚さより薄くするために、取り付けられる。遮蔽板10には適度な大きさと数の透孔が穿設され、また、めっき槽内では遮蔽板10の上方、下方、内側に空間が設けられ、いくらかのニッケルイオンは金属パイプ3の中間部に到達して、薄いめっき層が中間部の周囲に形成されるようにしている。
【0029】
めっき用治具6の各上部クランプ7と下部クランプ8は、電気めっきの負極電極を構成し、電気めっき用の電源装置の負極端子に接続される。各金属パイプ3の両端部には電気めっきの負極電極が接続されることになる。めっき用治具6は、その治具枠9の上部が図示しない懸吊装置に吊下され、複数のめっき槽間を移動可能に支持される。一方、めっき治具6に保持された金属パイプ3を浸漬させるめっき槽内には、めっきの陽極材料としてニッケル金属材料が収容され、そこに陽極電極が接続され、その陽極電極はめっき用の電源の陽極端子に接続される。
【0030】
めっき処理は、ニッケルクロムめっきを行なうが、ニッケルめっきは下地めっきとして行なわれ、ニッケルめっきの後にクロムめっきを施す。このため、めっき槽としては、ニッケルめっき槽に続いてクロムめっき槽が設置される。クロムめっき槽にはクロム酸溶液が収容され、そのめっき槽内には不溶性陽極(例えば鉛のダイヤモンド被覆電極)が配設され、電気めっき用の電源の陽極端子がその不溶性陽極に接続される。
【0031】
なお、上記めっき用治具6は、上部クランプ7と下部クランプ8により金属パイプ3を縦方向に並べて保持したが、金属パイプ3を横方向に並べ、その両端をクランプで保持するように構成することもできる。
【0032】
電気ニッケルクロムめっきは、次のように実施される。先ず、上記のようなめっき用治具6に、多数の直線状の金属パイプ3を縦方向に並べ、所定の間隔を置いて並列し、上部クランプ7と下部クランプ8とにより金属パイプ3の上部と下部を挟むようにクランプし保持する。被めっき物の金属パイプ3の表面は、必要に応じて下地処理が施される。金属パイプ3を保持しためっき治具6は、先ず洗浄槽に入れられ、金属パイプ3の表面を洗浄し、脱脂処理を行なう。
【0033】
次に、金属パイプ3を保持しためっき用治具6を、ニッケルめっき槽内に浸漬する。そして、電源からめっき用の直流電圧をめっき用治具6の上下のクランプ7,8とめっき槽内の陽極電極間に印加し、めっき用治具6をめっき槽内で静止させた状態で、所定時間めっき処理を行なう。
【0034】
めっき処理を行なう間、陽極電極のニッケル材料からニッケルイオンが溶出し、溶出したニッケルイオンは、陰極に接続された被めっき物の金属パイプ3に向けて移動し、金属パイプ3の表面でニッケル金属が析出し、ニッケルのめっき層が表面に形成されていく。通常、めっき工程では、めっき槽内のめっき液である電解液の電流密度が高く、ニッケルイオンの密度が高いほど、析出するめっき層(めっき膜)の厚さは厚くなり、めっき液の電流密度が低く、ニッケルイオンの密度が低いほど、析出するめっき層(めっき膜)の厚さは薄くなる。
【0035】
本めっき処理においては、上記のように、被めっき物の金属パイプ3の両端部に陰極を接続しているため、陰極に近い金属パイプ3の両端部の周囲の電解液は、その電流密度がパイプの中間部に比べ高くなる。また、めっき用治具6の中間部に取り付けた遮蔽板10によって、金属パイプ3の中間部近傍には、めっき液中に溶出したニッケルイオンは到達にしにくくなる。
【0036】
上記のように、陽極電極のニッケル材料からニッケルイオンが溶出し、溶出したニッケルイオンは、陰極に接続された被めっき物の金属パイプ3に向けて移動し、金属パイプ3の表面でニッケル金属が析出し、ニッケルのめっき層が表面に形成されるが、金属パイプ3の中間部近傍に、めっき液中に溶出したニッケルイオンが到達しにくくになっている。このため、所定時間めっき処理を行なった状態のめっき金属パイプ4の表面は、金属パイプ4の中間部のめっき層の厚さが、両端部近傍のめっき層の厚さより、薄く形成される。例えば、めっき金属パイプ4の両端部(ヘッドレストステー15の挿入部21となる部分)のニッケルめっき層の厚さは、8〜12μm、好ましくは9〜11μmに形成され、金属パイプ4の中間部(ヘッドレストステー15の埋設部16となる部分)のニッケルめっき層の厚さは、2〜5μm、好ましくは3〜4μmに形成される。
【0037】
このように、ヘッドレストステー15の挿入部21となるめっき金属パイプ4の両端部のニッケルめっき層の厚さ(8〜12μm)は、埋設部16となる金属パイプ4の中間部のめっき層の厚さ(2〜5μm)より厚く形成されることにより、後述のように、この後、その上にクロムめっきを施した状態で、良好な装飾性、耐食性、耐摩耗性を有した状態となる。
【0038】
また、ヘッドレスト本体20の内部に入る埋設部16となる部分つまり金属パイプ4の中間部のめっき層の厚さ(2〜5μm)は、少なくともヘッドレスト本体20内に埋設されるまでの期間は、さびが発生しない程度にめっき層が形成され、且つ後述の曲げ加工を行なった際に、ひび割れが生じない程度に薄く形成される。
【0039】
また、このような条件でニッケルめっきを施すことにより、従来ヘッドレストステーの表面に一様な厚さのニッケルめっきを形成していた従来のめっき処理工程に比べ、中間部のめっき層の厚さを薄くした分だけ、ニッケルイオンの材料となるニッケル金属材料の使用量を節減することができる。
【0040】
次に、ニッケルめっき層の上にクロムめっきを行ない、クロムめっき層を表面に析出させる。クロムめっきは、上記のようにニッケルめっき層を形成した金属パイプ4を保持しためっき用治具6を、上記のクロムめっき槽に移動して、浸漬させ、クロムめっき処理を実施する。クロム酸溶液(電解液)中のクロムイオンは、被めっき物である金属パイプ4(ニッケルめっき層を表面に形成した金属パイプ)の表面に集まり、クロム金属がその表面に析出し、クロムめっき層は、ニッケルめっき層上に極めて薄く(例えば厚さ約0.1μm)形成される。
【0041】
クロム金属のめっき層は、表面に緻密な酸化皮膜を形成し、変色しやすいニッケルめっきの変色を防止する。このため、ニッケルめっき層の上にクロムめっき層を形成した金属パイプ4は、さらに良好な装飾性、耐食性、耐摩耗性を有したものとなる。また、このようなクロムめっき層は、金属パイプ4の略全体に形成されるところ、その厚さは約0.1μmと非常に薄く、パイプを曲げ加工した際にクロムめっき層によってめっき層にひび割れが生じることはない。また、金属パイプ4の中間部のクロムめっき層の厚さは、その両端部のクロムめっき層の厚さより薄く(例えば約0.05μm)形成されるが、上記のように金属パイプ4の中間部は、ヘッドレスト本体20の内部に埋設される埋設部16となる部分であり、ヘッドレスト本体20の成形工程でヘッドレスト本体20内に埋設されるまで、さびの発生を防止可能であれば、クロムめっき層の厚さが薄くても、何ら問題とはならない。
【0042】
このようにして、ニッケルクロムめっき処理を行なった直線状のめっき金属パイプ4は、めっき完了後、めっき用治具6から外され、この後、ヘッドレストステー15の半製品としての金属パイプ4は、別の場所、例えば国内の遠隔地或は海外の遠隔地に位置するヘッドレスト製造工場に輸送される。輸送に際し、金属パイプ4は包装させるが、直線状の金属パイプ4であるため、適当な本数のパイプを束ねて結束し、段ボール箱などに詰めて、簡単な包装により低コストで輸送することができる。
【0043】
従来のヘッドレストステーは、立体形状に曲折した状態で輸送しているため、専用のコンテナに入れて輸送し、かつステー1本あたりの輸送容積が増大するため、コンテナを往復移動させる手間、輸送用車両一台あたりの輸送数量が少ないことによって、比較的高い輸送コストが発生していた。しかし、本ヘッドレストステーの製造方法によれば、直線状の金属パイプ4を束ねて比較的小形に結束し、コンテナを使用せずに、段ボール箱などに入れて、簡単な包装でヘッドレスト製造工場に効率よく輸送することができ、輸送コストを大幅に削減することができる。特に、国内の遠隔地への輸送のみならず、海外への輸送も、比較的安価な輸送コストで、送ることができる。
【0044】
そして、上記のようにめっき処理されためっき金属パイプ4は、ヘッドレスト製造工場またはヘッドレスト製造工場に隣接した曲げ加工工場に輸送される。ヘッドレストステーの曲げ加工機は、例えば、先端にマンドレルを取り付けたマンドレル軸を設けたチャック部と、曲げマンドレル軸の一方の側部に配置された回転可能なベンディングロールと、ベンディングロールには金属パイプを収容する円弧状の凹部が形成され、マンドレル軸の他方の側部に対し進退すると共にベンディング中心を軸に回転可能に設けられたクランプダイと、クランプダイを同方向に移動させるプレッシャダイと、から構成されるパイプベンダーを使用することができる。
【0045】
このようなパイプベンダーには、比較的小型の汎用のパイプベンダーを使用することができ、パイプベンダーは、ヘッドレスト製造工場内の一郭に、或はその製造工場の近傍に設置した工場に、簡単に設置することができる。また、曲げ加工工程では、金属パイプを曲げ加工のみを行なうため、特別な技術は必要とせず、まためっき処理などに比べ、前処理や後処理などに付随する処理工程がなく、遥かに簡単に加工することができる。
【0046】
金属パイプ4の曲げ加工では、図2に示す如く、例えば次の3工程で曲げ加工が行なわれる。すなわち、金属パイプ4は、図2(a)のように、先ず平面上で第1角部を直角に曲折すると共に第2角部を直角に曲折して、略コ字状に曲げ加工する。次に、図2(b)のように、コ字状に曲折した金属パイプの端部を上方に(立体的に)所定角度(例えば約130度)曲折する。このような曲げ加工において曲折される金属パイプ4の部分は、その両端部及びその近傍を除いた中間部であり、めっき層の厚さがより薄い部分である。
【0047】
このようなベンダーによる曲げ工程においては、従来のヘッドレストステーのように通常の厚さのニッケルクロムめっきを行なったステーでは、パイプを曲げた際にパイプの表面のめっき層に、ひび割れが発生しやすい。しかしながら、このヘッドレストステー15の曲折する部分は、金属パイプ4の両端部及びその近傍を除いた中間部であり、そのニッケルめっき層の厚さが2〜5μmと薄く形成されているため、ひび割れを発生させずに曲折することができる。このような金属パイプ4の曲げ加工により、ヘッドレストステー15の埋設部16が形成され、図2(c)に示すようなヘッドレストステー15が完成する。
【0048】
上記のように製造されたヘッドレストステー15は、ヘッドレストの製造ラインに供給され、図4に示すように、ヘッドレストステー15の曲折した上部、つまり埋設部16には、その外側を覆うように、ヘッドレスト本体20が取着される。ヘッドレスト本体20は、ポリウレタンフォームなどの発泡材からなるパッド部と、そのパッド部の表面に被覆形成される布材などにより表皮とから形成される。そして、ヘッドレスト本体20から下方に突出した部分がステーの挿入部21となり、ヘッドレストが完成する。
【0049】
下方に突出するヘッドレストステーの挿入部21は、上記のように、金属パイプ4の中間部を除く両端部の近傍から形成され、ニッケルめっき層、クロムめっき層共に、必要且つ充分な厚さに形成されている。このため、挿入部21は、上述のように、良好な装飾性、耐食性、耐磨耗性を有したものとなり、自動車用シートのシートバックの頂部のホルダーに、挿入部21を挿入して使用する際、良好な耐久性をもって使用することができる。
【0050】
図5は他の例のヘッドレストステー25を示している。このヘッドレストステー5においては、コ字状に曲折した金属パイプの端部を、上記より少ない角度(例えば約25度)だけ上方に曲折する。これにより、図5に示すような形状のヘッドレストステー25が完成する。そして、上記と同様に、ヘッドレストステー25の曲折した上部、つまり埋設部26には、その外側を覆うように、ヘッドレスト本体22が取着される。ヘッドレスト本体22は、ポリウレタンフォームなどの発泡材よりなるパッド部と、そのパッド部の表面に被覆形成される布材などにより表皮とから成形される。そして、ヘッドレスト本体22から下方に突出した部分がステーの挿入部27となり、ヘッドレストが完成する。
【0051】
このように、ヘッドレスト製造工場などの一郭に専用のベンダーを設置しておくか、或はヘッドレスト製造工場に隣接して、ベンダーによる曲げ加工を行なう簡単な工場を設置しておけば、めっき処理された金属パイプ4を容易に曲げ加工して、ヘッドレストステー15、25を短時間で製造することができる。したがって、金属パイプ4を搬入したヘッドレスト製造工場で、必要な量のヘッドレストステー15,25を直ぐに曲げ加工して、ヘッドレスト製造工場の製造ラインに、ヘッドレストステー15,25を供給することができ、ストックする部品の在庫量を最少にして、製造コストを削減することが可能となる。
【0052】
また、このようなヘッドレストステーの製造方法を採用することにより、既設の金属加工処理工場を使用しながら、最も少ない設備投資によりヘッドレストステーを安価に製造し、安価な輸送コストでヘッドレスト製造工場に搬入することができる。