IPC分类号:
D04H1/26 | D04H1/645 | D06M13/338 | D06M15/333 | D06M101/04 | D21H13/20 | D21H19/20 | D21H19/34 | A47L13/17 | D04H1/04 | D04H1/64
国民经济行业分类号:
C1789 | C1781 | C1779 | C3061
当前申请(专利权)人地址:
東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
摘要:
【課題】清掃作業に十分に耐え得る湿潤強度を有し、しかも水中へ廃棄することで迅速に繊維レベルまでばらばらに崩壊する水解性清掃物品を提供すること。
【解決手段】カナディアン·スタンダート·フリーネスが750ml以上である改質セルロース繊維を含む繊維シートの構成繊維間が高分子バインダによって結合されてなる水解性のシート基材に、有機溶剤及び前記バインダの架橋剤を含有する水性洗浄剤が含浸されてなる水解性清掃物品。
【選択図】 なし
技术问题语段:
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、水解性の清掃物品に要求される性能はますます高くなっており、清掃作業に耐え得る湿潤強度は一層高く、しかも廃棄時の水解性が一層良好である水解性清掃物品が求められている。
【0006】
従って本発明は、清掃作業に十分に耐え得る湿潤強度を有し、しかも水中へ廃棄することで迅速に繊維レベルまでばらばらに崩壊する水解性清掃物品を提供することを目的とする。
技术功效语段:
【0061】【発明の効果】本発明の水解性清掃物品は、清掃作業に十分に耐え得る湿潤強度を有し、しかも廃棄時の水解性が極めて良好なものである。
权利要求:
【請求項1】
カナディアン·スタンダート·フリーネスが750ml以上である改質セルロース繊維を含む繊維シートの構成繊維間が高分子バインダによって結合されてなる水解性のシート基材に、有機溶剤及び前記バインダの架橋剤を含有する水性洗浄剤が含浸されてなる水解性清掃物品。
【請求項2】
前記バインダがカルボキシル基を有するバインダであり、前記架橋剤がアルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種又は2種以上の金属イオンである請求項1記載の水解性清掃物品。
【請求項3】
前記バインダがポリビニルアルコールであり、前記架橋剤がホウ酸である請求項1記載の水解性清掃物品。
【請求項4】
JIS P 4501-1993(トイレットペーパー)に規定されるほぐれやすさの値が60秒以下である請求項1〜3の何れかに記載の水解性清掃物品。
【請求項5】
前記改質セルロース繊維がマーセル化パルプ又は架橋パルプからなる請求項1〜4の何れかに記載の水解性清掃物品。
【請求項6】
前記繊維シートが湿式抄造紙である請求項1〜5の何れかに記載の水解性清掃物品。
【請求項7】
前記繊維シートが、空気搬送された繊維を堆積させて得られた繊維ウエブである請求項1〜5の何れかに記載の水解性清掃物品。
【請求項8】
前記シート基材の比容積が7〜15cm3/gである請求項1〜7の何れかに記載の水解性清掃物品。
技术领域:
本発明は、使用時には十分な強度があり、廃棄時には僅かな水流によって容易に崩壊する水解性清掃物品に関する。
【0002】
背景技术:
本出願人は先に、湿式抄造によって製造され且つカルボキシル基を有する水溶性バインダを含有する水解紙に、多価金属イオンと有機溶剤を必須成分として含有する水性清浄薬剤を含浸させてなる水解性清掃物品を提案した(特許文献1参照)。また湿式抄造によって製造され且つポリビニルアルコールをバインダとして含有する水解紙に、水溶性溶剤を含有するホウ酸水溶液を含浸させてなる水解性清掃物品も提案した(特許文献2参照)。これらの水解性清掃物品は、清掃作業に耐え得る強度を有し、しかも良好な水解性も有している。
【0003】
水解性の清掃物品として、生分解性繊維からなる繊維質シート基材に薬液と静菌剤とが含まれている生分解性湿潤シートも知られている(特許文献3参照)。このシートに用いられているシート基材は主として湿式抄造法によって製造される。
【0004】
【特許文献1】
特開平2-149237号公報
【特許文献2】
特開平3-292924号公報
【特許文献3】
特開平10-195797号公報
【0005】
发明内容:
しかし、水解性の清掃物品に要求される性能はますます高くなっており、清掃作業に耐え得る湿潤強度は一層高く、しかも廃棄時の水解性が一層良好である水解性清掃物品が求められている。
【0006】
従って本発明は、清掃作業に十分に耐え得る湿潤強度を有し、しかも水中へ廃棄することで迅速に繊維レベルまでばらばらに崩壊する水解性清掃物品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カナディアン·スタンダート·フリーネスが750ml以上である改質セルロース繊維を含む繊維シートの構成繊維間が高分子バインダによって結合されてなる水解性のシート基材に、有機溶剤及び前記バインダの架橋剤を含有する水性洗浄剤が含浸されてなる水解性清掃物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
具体实施方式:
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の水解性清掃物品は水解性のシート基材に水性洗浄剤が含浸されてなるウエットタイプのものであり、一般にシート状のもの形態をしている。
【0009】
シート基材は、改質セルロース繊維を含む繊維シートの構成繊維間が、高分子バインダによって結合されてなる。改質セルロース繊維は、通常の方法で得られたセルロース繊維に化学的な処理を施して得られたものである。改質セルロース繊維は、捻れ構造、クリンプ構造、屈曲及び/又は分岐構造等の立体構造をとるか、又は繊維断面が極太となっており、嵩高な三次元構造を有している。改質の対象となるセルロース繊維としては、天然セルロース繊維及び再生セルロース繊維のような嵩高性のセルロース繊維が好ましい。コストの点からは木材パルプを用いることが好ましく、特に針葉樹クラフトパルプが好ましい。改質セルロース繊維の代表例としては、改質パルプであるマーセル化パルプや架橋パルプが挙げられる。
【0010】
マーセル化パルプはパルプをアルカリ処理したものである。一般にパルプの断面は脱リグニン化処理によって偏平であるが、マーセル化処理を施すことによってパルプが膨潤してその断面を円形に近い形とすることができる。例えばパルプ断面の真円度を0.5〜1、特に0.55〜1にすることができる。真円度が大きいと、嵩高な状態でパルプが堆積する。従って、マーセル化パルプを含む繊維シートには嵩高なネットワーク構造が形成される。マーセル化パルプの例としては、ITT Rayonier Inc. 製の「FILTRANIER」(商品名)や同社製の「POROSANIER」(商品名)等が挙げられる。真円度の測定方法は、本出願人の先の出願に係る特開平8-246395号公報に記載されている。
【0011】
架橋パルプはパルプの分子内及び/又は分子間を架橋剤により架橋したものである。架橋パルプはカール状に立体捲縮して嵩高な構造となっている。その嵩高構造は湿潤状態でも維持される。従って、前述したマーセル化パルプを用いた場合と同様に、架橋パルプを含む繊維シートには嵩高なネットワーク構造が形成される。架橋パルプの例としては、Weyerhaeuser Paper Co.製の「High Bulk Additive」等が挙げられる。
【0012】
本発明においては、清掃物品のシート基材の材料として、前述の改質セルロース繊維を含む繊維シートを用いることに大きな特徴を有している。具体的には、改質セルロース繊維は前述の通り嵩高な三次元構造を有しているので、該改質セルロース繊維を含む繊維シートは、通常のパルプを用いてなる繊維シートに比べて嵩高となる。その結果、同じ坪量で比較した場合、改質セルロース繊維を含む繊維シートは、構成繊維間の交点数が、通常のパルプを用いてなる繊維シートに比べて少なくなる。従って、改質セルロース繊維を含む繊維シートを材料としている本発明の清掃物品を水中に廃棄すると、交点数が少ないことに起因して、繊維レベルでばらばらに崩壊しやすくなる。しかも崩壊までの時間も短くなる。特に、改質セルロース繊維は通常のパルプに比べて水素結合を形成しづらいので、繊維レベルでの崩壊が一層顕著となる。
【0013】
繊維シートを嵩高にする観点から、改質セルロース繊維としてはそのカナディアン·スタンダート·フリーネス(以下CSFという)の値が750ml以上のものを用い、好ましくは760ml以上のものを用いる。
【0014】
繊維シートを一層嵩高にする観点から、改質セルロース繊維はその繊維粗度が0.3mg/m以上、特に0.3〜2mg/m、とりわけ0.32〜1mg/mであることが好ましい。繊維粗度とは、木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、繊維の太さを表す尺度として用いられるものである。繊維粗度は繊維粗度計(例えばKAJANNI ELECTRONICS LTD.社製のFS-200(商品名))を用いて測定することができる。
【0015】
改質セルロース繊維を含む繊維シートは種々の方法で製造される。典型的には湿式抄造法によって製造される。また乾式法でも製造される。乾式法によって製造する場合には、空気搬送された繊維を堆積させて繊維ウエブを形成するエアレイド法を用いることが好ましい。エアレイド法によって製造されたウエブは、湿式抄造法などの他のウエブ形成方法によって形成されたウエブに比べて嵩高となる。つまり構成繊維間の交点数が、湿式抄造法などの他のウエブ形成方法によって形成されたウエブに比べて少なくなる。また構成繊維の方向が、三次元のランダムな方向となる。その結果、エアレイド法によって製造されたウエブを用いた清掃物品を水中に廃棄すると、交点数が少なく且つ構成繊維の方向が三次元のランダムな方向であることに起因して、繊維レベルでばらばらに崩壊しやすくなる。しかも崩壊までの時間も短くなる。
【0016】
繊維シートは前述の改質セルロース繊維を主たる構成繊維として含んでいる。繊維シートにおける改質セルロース繊維の割合は50重量%以上、特に75重量%以上であることが、嵩高な構造の繊維シートが得られる点から好ましい。繊維シートが実質的に改質セルロース繊維からなることが最も好ましい。繊維シートが改質セルロース繊維に加えて他の繊維を含む場合、当該他の繊維の割合は20重量%以下、特に10重量%以下であることが好ましい。他の繊維としては通常のパルプ、レーヨン、コットンなどのセルロース系繊維、ポリ乳酸等からなる生分解性繊維等が挙げられる。またポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、合成パルプ、ガラスウール等を用いることもできる。
【0017】
清掃用具の具体的な用途にもよるが、繊維シートは、その坪量が30〜150g/m2、特に40〜100g/m2であることが、十分な強度の確保や清掃作業性の点から好ましい。
【0018】
繊維シートに施される高分子バインダとしては、従来この種の物品に用いられているものを特に制限なく用いることができる。高分子バインダとしては水溶性のもの及び水不溶性のものの双方を用いることができるが、水溶性のものを用いることが好ましい。水溶性高分子バインダとしては、例えばカルボキシル基を有する水溶性バインダ、ポリビニルアルコール、デンプンまたはその誘導体、アルギン酸ナトリウム、トラントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、プルプラン、ポリエチレンオキシド、ビスコース、ポリビニルエチルエーテル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸のヒドロキシル化誘導体、ポリビニルピロリドン/ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらのバインダのうち、水解性が良好である点や後述する架橋剤との親和性の点からカルボキシル基を有する水溶性バインダやポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
【0019】
カルボキシル基を有する水溶性バインダは、水中で容易にカルボキシラートを生成するアニオン性の水溶性バインダである。その例としては多糖誘導体、合成高分子、天然物が挙げられる。多糖誘導体としてはカルボキシメチルセルロース又はその塩、カルボキシエチルセルロース又はその塩、カルボキシメチル化デンブン又はその塩などが挙げられ、特にカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩が好ましい。合成高分子としては、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体の塩、不飽和カルボン酸と該不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体の塩などが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。これらと共重合可能な単量体としては、これら不飽和カルボン酸のエステル、酢酸ビニル、エチレン、アクリルアミド、ビニルエーテルなどが挙げられる。特に好ましい合成高分子は、不飽和カルボン酸としてアクリル酸やメタクリル酸を用いたものであり、具体的にはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸メタクリル酸共重合体の塩、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルとの共重合体の塩が挙げられる。天然物としては、アルギン酸ナトリウム、ザンサンガム、ジェランガム、タラガントガム、ペクチンなどが挙げられる。
【0020】
カルボキシル基を有する水溶性バインダのうち特に好ましいものはカルボキシメチルセルロース(以下CMCともいう)のアルカリ金属塩である。CMCはそのエーテル化度が0.8〜1.2、特に0.85〜1.1であることがバインダとしての性能が良好となる点、及び後述する架橋剤との親和性が良好である点から好ましい。同様の理由により、CMCは25℃における1重量%水溶液の粘度が10〜40mPa·s、特に15〜35mPa·sであり、同温度における5重量%水溶液の粘度が2500〜4000mPa·s、特に2700〜3800mPa·sであり、更に60℃における5重量%水溶液の粘度が1200mPa·s以下であることが好ましい。
【0021】
水溶性高分子バインダの他の典型例であるポリビニルアルコール(以下PVAともいう)としては、完全ケン化物及び部分ケン化物の両方を用いることができる。PVAの重合度は、これを粘度で表すと、20℃における4重量%水溶液の粘度が2〜50mPa·s、特に5〜30mPa·s、とりわけ7〜20mPa·sであることがバインダとしての性能が良好となる点、及び後述する架橋剤との親和性が良好である点から好ましい。つまり低重合度ないし中重合度のものを用いることが好ましい。
【0022】
水不溶性の高分子バインダとしては、水不溶性のカルボキシメチルセルロースおよび/またはその塩が挙げられる。その置換度は0.30〜0.60程度であることが好ましい。またそのpHは5.0以上であることが好ましい。
【0023】
高分子バインダを繊維シートへ施す量は、バインダの種類によもよるが、繊維シートの乾燥重量に対して1〜20重量%、特に1〜15重量%であることが、繊維シートの構成繊維間が十分に結合される点、及び得られるシート基材の水解性が十分となる点から好ましい。高分子バインダを繊維シートへ施すには、例えば該バインダの水溶液を繊維シートに塗布した後に乾燥させればよい。
【0024】
このようにして得られた水解性のシート基材はその坪量が31.5〜172.5g/m2、特に42〜115g/m2であることが、十分な強度の確保や清掃作業性の点から好ましい。
【0025】
得られたシート基材は水解性を有するものでなので、これを水中に廃棄したり或いはこれに水性液を含浸させると容易に崩壊してしまう。そこで本発明においてはシート基材に水性洗浄剤を含浸させてウエットの水解性清掃物品を製造するにあたり、該水性洗浄剤中に前記高分子バインダの架橋剤を含有させておく。架橋剤によって該バインダが架橋して不溶化する結果、少量の水では該バインダが溶解しなくなる。しかし大量の水中に廃棄すれば不溶化していた該バインダが再び水に溶解するようになって、速やかに且つ繊維レベルでばらばらに崩壊する。
【0026】
架橋剤は、高分子バインダの種類に応じて適切なものが用いられる。例えば、バインダが前述したCMCなどのカルボキシル基を有する水溶性バインダである場合には、架橋剤として多価金属イオンを用いることが好ましい。特にアルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種又は2種以上の金属イオンを用いることが、繊維間が十分に結合されて清掃作業に耐え得る強度が発現する点、及び水解性が十分になる点から好ましい。これらの金属イオンのうち、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、コバルト、ニッケルのイオンを用いることが特に好ましい。但し水溶性高分子バインダとしてカラギーナンやガラクトマンナン等を用いた場合には、カリウムのイオンを用いることが良好な架橋の点から好ましいことがある。
【0027】
金属イオンは、水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ギ酸塩、酢酸塩などの水溶性金属塩の形で水性洗浄剤に添加される。金属イオンは、本発明の水解性清掃物品中に存するバインダにおけるカルボキシル基1モルに対して1/4モル以上、特に1/2モル以上の量となるように添加されることが、十分な架橋反応を起こさせる点から好ましい。
【0028】
一方バインダとして前述したポリビニルアルコールを用いる場合の架橋剤としてはホウ酸を用いることが好ましい。これによってポリビニルアルコールとホウ酸との間に架橋反応が生じ、ポリビニルアルコールが不溶化する。ホウ酸は、水性洗浄剤中に1〜5重量%の濃度で配合されていることが好ましい。特に高重合度のポリビニルアルコールを用いる場合には1〜3重量%、中重合度ないし低重合度のポリビニルアルコールを用いる場合には3〜5重量%の濃度で配合されることが好ましい。
【0029】
水性洗浄剤には、前述した架橋剤に加えて有機溶剤が配合される。この理由は、前記の高分子バインダを含む水解性のシート基材に架橋剤を加えて該バインダを架橋させただけでは、清掃作業に耐え得る十分な強度を有する水解性清掃物品が得られないからである。有機溶剤を併用することによって、高分子バインダと架橋剤との架橋コンプレックスの生成が著しく増大し、そのコンプレックスが不溶化した状態で存在するので、基材シートに含浸される水性洗浄剤中の水の量が多くても、清掃作業に耐え得る十分な強度が発現する。
【0030】
有機溶剤は水溶性の溶剤であることが好ましい。具体的にはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、これらグリコール類ルとメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールとのモノ又はジエーテル、前記グリコール類と低級脂肪酸とのエステル、グリセリンやソルビトール等の多価アルコールが挙げられる。
【0031】
水性洗浄剤中に有機溶剤を1重量%以上配合すると、水解性清掃物品の湿潤強度の増加が認められる。50重量%超配合すると水溶性汚れに対する清拭除去効果が低下する場合がある。また火気に対する危険性もある。有機溶剤を10重量%以上配合すると、水解性清掃物品の湿潤強度が著しく増加する。これらの観点から、水性洗浄剤中における有機溶剤の配合量は1〜50重量%、特に10〜50重量%であることが好ましい。
【0032】
水性洗浄剤は水を媒体として前述した架橋剤及び有機溶剤が配合されてなるものである。水性洗浄剤にはこれらの成分に加えて必要に応じ界面活性剤、殺菌剤、消臭剤などを配合して、該水性洗浄剤の性能を高めてもよい。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の何れもが用いられ、特に洗浄性と仕上がり性の両立の面から、ポリオキシアルキレン(アルキレンオキサイド付加モル数1〜20)アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エーテル、アルキル(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)グリコシド(平均糖縮合度1〜5)、ソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖)エステル、及びアルキル(炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖)グリセリルエーテル等の非イオン界面活性剤並びにアルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドカルボキシベタイン、アルキルアミドスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン等のアルキル炭素数8〜24の両性界面活性剤が好適に用いられる。
【0033】
水性洗浄剤は、シート基材の重量(乾燥基準)に対して50%〜500重量%、特に100〜500重量%、とりわけ100〜300重量%含浸されることが、十分な清拭効果が発現する点から好ましい。
【0034】
このようにして得られた本発明の水解性清掃物品は、水性洗浄剤が含浸されている程度では水解しないが、大量の水中に廃棄されると速やかに且つ繊維レベルでばらばらに崩壊する。本発明の水解性清掃物品の水解の程度は、JIS P 4501-1993(トイレットペーパー)に規定されるほぐれやすさの値が好ましくは60秒以下、更に好ましくは30秒以下、一層好ましくは20秒以下、更に一層好ましくは10秒以下という極めて低い値となる。この理由は、先に述べた通り、シート基材が改質セルロース繊維を含む繊維シートから構成されていることに起因している。つまり、シート基材が嵩高であり、構成繊維間の交点数が少ないことに起因している。従って、本発明の水解性清掃物品に用いられるシート基材は、従来の水解性清掃物品に用いられているシート基材、即ち通常のパルプからなるシート基材に比べて嵩高、即ち比容積の大きなものとなっている。
具体的には本発明の水解性清掃物品に用いられるシート基材の比容積は好ましくは7〜15cm3/g、更に好ましくは7〜12cm3/gという、従来のものよりも大きな値となっている。
【0035】
シート基材の比容積の測定方法は次の通りである。シート基材に0.3kPaの荷重を加え、その状態での厚みを測定する。また別途、シート基材の坪量を測定する。測定された厚みを坪量で除すことで比容積が算出される。
【0036】
シート基材は何枚も積層して用いることができる。またシートにエンボス加工を施してもよい。更に、使いやすい大きさに切るために、シート基材にミシン目を入れることもできる。
【0037】
本発明の水解性清掃物品は、例えばトイレ、洗面所、台所など水回りの清掃に好適に用いられる。使用後の清掃物品はそのまま水に流して廃棄すればよく、水に流すと速やかに水解するので排水管を詰まらせることはない。また水性洗浄剤に所定の薬剤を含有させておけば、本発明の水解性清掃物品を、外出時に使用するウエットティッシュ、メーク落としシート、日焼け止めシート等として用いることもできる。その場合、構成繊維が生分解性のものであれば、使用後に海や川にそのまま流すことも可能である。
【0038】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
【0039】
〔実施例1〜8〕
表1に示す組成の繊維を原料として用い、湿式抄造法によって同表に示す坪量の繊維シートを得た。この繊維シートに、CMCナトリウム塩(日本製紙製のサンローズ(商品名)、エーテル化度;DS=0.9、25℃での1%水溶液の粘度;30mPa·s、25℃での5%水溶液の粘度;3000mPa·s、60℃での5%水溶液の粘度;800mPa·s)の1%水溶液を噴霧し、次いで乾燥させて表1に示す坪量の水解性シート基材を得た。繊維シートの乾燥重量に対するCMCナトリウム塩の塗布量は表1に示す通りであった。
【0040】
シート基材に、以下の処方(処方Aという)からなる水性洗浄剤を含浸させた。含浸量はシート基材の乾燥重量の2倍とした。このようにして水解性清掃物品を得た。
【0041】
<処方A>
·ドデシルヒドロキシスルホベタイン 0.5%
·ZnSO43%
·プロピレングリコールモノメチルエーテル 10%
·エタノール 10%
·水 バランス
【0042】
〔実施例9〜15〕
表1に示す組成の繊維を原料として用い、これを空気搬送し、ワイヤメッシュ上に堆積させて同表に示す坪量のエアレイドウエブ(繊維シート)を得た。このエアレイドウエブに、CMCナトリウム塩(日本製紙製のサンローズ(商品名)、エーテル化度;DS=0.9、25℃での1%水溶液の粘度;30mPa·s、25℃での5%水溶液の粘度;3000mPa·s、60℃での5%水溶液の粘度;800mPa·s)の1%水溶液を噴霧し、次いで乾燥させて表1に示す坪量の水解性シート基材を得た。エアレイドウエブの乾燥重量に対するCMCナトリウム塩の塗布量は表1に示す通りであった。その後は実施例1と同様にして水解性清掃物品を得た。
【0043】
〔実施例16及び17〕
表1に示す組成の繊維を原料として用い、湿式抄造法によって同表に示す坪量の繊維シートを得た。この繊維シートに、ポリビニルアルコール(クラレ製のPVA-110(商品名)、中重合度品)の1%水溶液を噴霧し、次いで乾燥させて表1に示す坪量の水解性シート基材を得た。繊維シートの乾燥重量に対するポリビニルアルコールの塗布量は表1に示す通りであった。シート基材に、以下の処方(処方Bという)からなる水性洗浄剤を含浸させた。含浸量はシート基材の乾燥重量の2倍とした。このようにして水解性清掃物品を得た。
【0044】
<処方B>
·ドデシルヒドロキシスルホベタイン 0.5%
·ホウ酸 4%
·ポリエチレングリコール-400(PEG-400) 20%
·水 バランス
【0045】
〔実施例18及び19〕
表1に示す組成の繊維を原料として用い、これを空気搬送し、ワイヤメッシュ上に堆積させて同表に示す坪量のエアレイドウエブ(繊維シート)を得た。このエアレイドウエブに、ポリビニルアルコール(クラレ製のPVA-110(商品名)、中重合度品)の1%水溶液を噴霧し、次いで乾燥させて表1に示す坪量の水解性シート基材を得た。エアレイドウエブの乾燥重量に対するポリビニルアルコールの塗布量は表1に示す通りであった。その後は実施例16と同様にして水解性清掃物品を得た。
【0046】
〔比較例1〜6〕
表2に示す組成の繊維を原料として用い、繊維シートの乾燥重量に対するCMCナトリウム塩の塗布量を同表に示す通りとし、且つ水性洗浄剤として同表に示す処方のものを用いる以外は実施例1と同様にして水解性清掃物品を得た。なお、処方C及び処方Dは以下の通りである。
【0047】
<処方C>
·ドデシルヒドロキシスルホベタイン 0.5%
·ZnSO43%
·水 バランス
【0048】
<処方D>
·ドデシルヒドロキシスルホベタイン 0.5%
·プロピレングリコールモノメチルエーテル 10%
·エタノール 10%
·水 バランス
【0049】
〔比較例7〜10〕
表2に示す組成の繊維を原料とし、繊維シートの乾燥重量に対するポリビニルアルコールの塗布量を同表に示す通りとし、且つ水性洗浄剤として同表に示すものを用いる以外は実施例16と同様にして水解性清掃物品を得た。なお、処方E及び処方Fは以下の通りである。
【0050】
<処方E>
·ドデシルヒドロキシスルホベタイン 0.5%
·ホウ酸 4%
·水 バランス
【0051】
<処方F>
·ドデシルヒドロキシスルホベタイン 0.5%
·ポリエチレングリコール-400(PEG-400) 20%
·水 バランス
【0052】
〔比較例11〜16〕
表2に示す組成の繊維を原料として用い、これを空気搬送し、ワイヤメッシュ上に堆積させて同表に示す坪量のエアレイドウエブ(繊維シート)を得た。このエアレイドウエブに、CMCナトリウム塩を同表に示す量塗布した。且つ水性洗浄剤として同表に示すものをシート基材の乾燥重量の2倍含浸させ水解性清掃物品を得た。
【0053】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた水解性清掃物品について、先に述べた方法でシート基材の厚み及び比容積を測定した。また次の方法で水解性清掃物品の乾燥強度及び湿潤強度を測定した。更に次の方法で水解性清掃物品の水解性を評価した。これらの結果を表1及び表2に示す。なお、パルプのろ水度試験法も併せて記載されている。
【0054】
〔乾燥強度の測定〕
水解性清掃物品を乾燥させて水分を除去した。次いで幅25mm、長さ100mmの短冊状に裁断して測定片を作製した。測定片をテンシロン引張試験機(オリエンテック社製のRTM-25(商品名)にチャック間距離50mmで取り付けた。試験片を300mm/minの速度で引っ張り、破断時の強度を測定し、その値を乾燥強度とした。
【0055】
〔湿潤強度の測定〕
湿潤状態の水解性清掃物品そのものを用いて、前述の乾燥強度の測定と同様の方法で測定を行った。湿式強度は、洗浄剤が含浸された水解性清掃物品を使用した場合に、使用中に該清掃物品が裂けたり破れたりしないための目安である。湿潤強度は100cN/25mm以上であることが必要である。
【0056】
〔水解性の評価〕
JIS P 4501-1993に準じて行った。300mlのビーカーに水を入れ、撹拌子(NALGENE製のスターヘッド 35mmφ×12mm)を600±10rpmの回転数で回転させ水を撹拌する。7cm×7cmの大きさに裁断した水解性清掃物品を水中に投入する。これによって撹拌子の回転数が低下する。水解性清掃物品の水解と共に撹拌子の回転数は上昇し始める。撹拌子の回転数が540rpmになるまでの時間を測定し、その値をほぐれやすさの値とする。また、水解性清掃物品を水中に投入して撹拌子の回転数が540rpmになったときの該清掃物品の状態を肉眼で観察し以下の基準で崩壊の程度を評価した